たべる

ライター:ふさ

2023.02.20

ゆっくり、ゆっくり美味しい「古民家レストラン ぽれぽれ」

ゆっくり、ゆっくり美味しい
「古民家レストラン ぽれぽれ」

以前、私と娘は「古民家レストラン ぽれぽれ」のことを「だいこんのところ」と呼んでいた。前を通るたびに気になっていた、見上げるほど大きなだいこん。

見上げるほど、という言葉は大げさじゃない。写真で伝わるだろうか、娘の背丈の倍以上あるくらい大きい。

今では「だいこんのところ」ではなく「ぽれぽれ」で通じる。娘とも一緒に行ったし、一人で何度も行っている。「今日ぽれぽれにランチに行ってきたよ」と伝えると、娘に「ママ、ずるい」と言われる。

ごめんよ、娘。ママが一人でぽれぽれに行きたいときは、たいてい心身ともにヘトヘトに疲れていて、どうしても昼間に急速充電が必要なときなのだ。

お伺いするたびに写真を撮っていたので、料理の写真がたくさんある。どれもこれも美味しくて、彩り豊かで美しい。そしてつけあわせも、一つひとつがていねい。

これは一番最近行ったときにいただいた、ビーフシチュー。

これはいつぞや行ったときの、クリームコロッケ。

友人を連れて行ったときの、ハンバーグとオムライス。

娘が食べていた、ドリア。

初めてぽれぽれに行ったのは昨年の10月。そのときの私は、仕事も母としても多忙で、疲労は積み重なるばかり。とはいえ、そんな生活は何年も続いていたし「多忙=充実」と思って、目をつぶっていた。

昨夏、飯能へ引っ越してきて、風景と環境がガラリと変わった。時間の流れがゆったりとしていて、季節がはっきりと感じられる飯能で、娘は水を得た魚のように生き生きし始めた。

それがとてもうれしかった。その反面、私はどうして相変わらず、この時間の流れからかけ離れた、常に何かに追われた生活をしているのだろう?という葛藤を強く感じていた。

できるだけ時間を見つけて外へ出ようとしたし、バランスを取ろうとしたけれど、気づいたらもう心身ともにギリギリで、でもなんとか踏ん張るしかないと思っていた頃だった。

そんなとき、初めて一人でぽれぽれを訪れた。まず、お店の素敵な内装に心が落ち着いた。

ぽれぽれでは、ハンバーグやビーフシチューなどの定番メニューのほかに、週替わり、月替わり、季節のスープ、スイーツがある。

注文したのは、10月の月替わりメニュー、舞茸ご飯とサーモンのドリア(写真がないのが悔やまれる)。

舞茸ご飯の上に大葉がのっていて、ベシャメルソース、サーモン、そしてとろりとしたチーズに鰹節。私の脳みそをどうひっくり返しても思いつかないコンビネーション。

初めて食べる味に、なんて美味しいんだ、うれしいなあと思いながら食べた。

お店にいるうちに、スマホで調べていたら、お店のFacebookページにたどり着いた。お店や料理への愛情あふれる投稿を読み進めていると「ぽれぽれ」の由来を知ることができた。

ぽれぽれとは、アフリカのスワヒリ語のpole pole。意味は「ゆっくり、ゆっくり」。それを読んだとたん、心にずーんと沁みて、ドリアを食べながら(自分でもびっくりしたけど)なぜかちょっとだけ泣いた。

下記は、ぽれぽれFacebookページの投稿の言葉を引用させていただく。

「時間におわれて生きる日常から少し離れて、手間暇かけて作ったお料理やスイーツを召し上がって頂きながら『ゆっくり、まったり、のんびり』過ごしてもらいたい」

この日の体験は、私の中でかなり大きくて「絶対このお店のことは、記事にさせてもらおう」と思い、図々しくも帰りがけに「記事にしてもよいですか?」と声をかけさせていただいた。というのに、気づけばそれから4か月。

その間もたまに食べに行って充電させてもらっていたものの、忙しさは輪をかけるばかりで寝る暇もなくなっていき、しっかり振り返ることができなかった。

やっといま、少しゆっくり深呼吸できそうな時間ができて、この記事を書き、写真を見返しながら、初めてぽれぽれを訪れたときの気持ちを再体験している。

実は、私の日々は3月から少し変わる。このままずっと何かに追われていたらダメだと少しずつ働きかけて、やっと変えることができた。

今までよりも、自分の時間を取れるようになる。娘との時間を増やすこともできる。

ぽれぽれは、2月を毎年冬期休業とされているそう。だから3月に再オープンされたら、ゆっくり、娘とご飯を食べにいくことをとっても楽しみにしている。

次こそは今までおなかいっぱいで挑戦できていない、スイーツもいただきたい。予約制というお任せのディナーコースも気になる。

飯能へ来てからというもの、自分の考えがだんだん変わっていくのを感じている。飯能の自然の近くにいたら、前よりも少し、自分を見つめ直すことができるようになった。

充実と忙しさは、常にイコールではないってこと、特に私はそれを誤解していたと気づくことができた。

これからもまた日々の忙しさに飲み込まれることはあるだろう。そんなときは美味しいご飯と静かな空間で充電させてもらって、またゆっくり、ゆっくり、進んでいこうと思う。

※2023年1月31日(火)から3月1日(水)まで、冬期休業中です。

関連情報

店名
古民家レストラン ぽれぽれ
所在地
飯能市赤沢220-2
TEL
042-978-8594
042-978-8594
営業時間
ランチ 11:00~15:00
ディナー 18:00~
※ディナーは要予約、木金土のみ
定休日
火曜日・水曜日
Facebook
@hannopolepole

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記事を書いた人:
ふさ

2022年夏、都内から飯能へ移住。都内へ出社したり、テレワークしたりの生活を始めたばかり。

  • 本業以外にも、写真を撮ったり、以前は育児雑誌のブロガー、最近は英語の先生も
  • 車で、娘とふたり旅するのが大好き。最長記録は東京⇆九州
  • ビール愛(詳しくないけど)かなり強め

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