まちづくり

ライター:かたおか 由衣

2026.02.10

【レポート】トークイベント「大家が変われば街が変わる」

【レポート】トークイベント
「大家が変われば街が変わる」

全国的に課題となっている「空き家問題」。飯能でも「貸したいけど心配」「何か新しいことを始めたいけど、場所がない」といった声をよく聞きます。

1月18日(日)トークイベント「大家が変われば街が変わる〜『大家』を楽しむ生き方〜」が行われました。当日はほぼ満席で立ち見も出て、窓の外からのぞきこむ人の姿も。

物件を貸し出すことで、大家さんも地域も幸せになる。そんな、大家と借主の関係について、実際の取り組みがたっぷり語られたレポートをお届けします!

「まちづくり」より「まちを耕す」

まず、トークイベントの第一部。

ゲストは、練馬区の「青豆ハウス」や高円寺の「高円寺アパートメント」、池袋の「南池袋公園」など公共空間活用の実践でも知られる青木純氏。

「コミュニティが価値を生む賃貸文化のパイオニア」として、全国で公演やプロジェクトを手がけています。日本の賃貸文化に革命を起こしたとも言われている方です。

青木さんは「まちづくりという言葉は苦手」と話します。代わりに使うのは「まちを耕す」という表現。

日常の延長線上に「まち」がある。そこに住む人たちの関係性を耕していく。そんな考え方を、ご自身のさまざまな活動を通じて紹介しました。

青木さん自身も大家さん。もともとは不動産業界で働いていましたが、35歳のときに家業を継ぐことになったそう。

たとえば青豆ハウスでは、毎日黒板を出してイラストや近況を書いたり、目の前の一般道のゴミ拾いをしたり。住人のアイデアで、さまざまな取り組みが広がっていきました。

住人が軒先でミシンを始めたら、偶然通りかかったアクセサリーデザイナーの方から「アクセサリーを売らせてほしい」と声がかかり、花屋を始める人も現れる。小さな動きが連鎖して、少しずつ街の景色にとけこんでいく。

あるとき、黒板の裏に「いつも楽しみにしています」と、手紙がありました。

後日、その手紙を書いた方の奥さんという方が通りかかり「主人は定年退職してから家にこもりがちだったけれど、黒板を見るために毎日散歩するようになったんです」と教えてくれたそう。

うれしそうに実践を話す青木さんの姿に、会場にもワクワクが伝わっていくような時間でした。

このレポートを書いている私は、沖縄の離島・竹富島で4年間暮らしていたことがあります。

青木さんの話を聞きながら、境界線がなく、地域の人たちと子どもたちが交わっていた島の風景が重なり、懐かしさを覚えました。青豆ハウスのような場所を探したくなります。

飯能に「ブックカフェ」が生まれる。
大家さんと借主の新しい関係

第二部では、飯能での「大家さんと借り手の新しい関係」が紹介されました。

登壇したのは、高麗横丁にある旧森口金物店の大家・森口彰徳さんと、長野県諏訪市から飯能へ移住してきた、神岡真拓さん・神岡紗緒さんです。

森口金物店は明治45年創業。神岡さん夫妻は、森口金物店でデザイン事務所兼ブックカフェを開く予定です。

もともと長野県の諏訪市でデザイン事務所を営んでいた真拓さん。生まれ育った関東近郊で良い場所がないか探していたところ、飯能と出会いました。

「飯能の人は話しやすくて、親切でした」と真拓さん。物件より先だったのは、人との出会い。Akinaiの赤井さんの紹介で森口さんと出会い、わずか1年弱でブックカフェのオープンというスピード感には驚かされます。

森口金物店は、閉店して以来約30年そのまま。お店の中には、当時の商品などがそのまま残っていました。

神岡さんたちから「看板をそのまま使わせてください」と相談され、森口さんは「おお、すげえな」と驚いたとか。このエピソードを話したときは会場に笑いが起こりました。

さらに、森岡さんは真拓さんに、飯能に移住してくる前にも関わらず「飯能まつり」のポスターデザインを依頼。手がけたポスターも紹介されました。

こうして、神岡さん夫妻に加えて、デザイン事務所に勤務する方をふくめて、飯能市の人口が4人も増えたとのこと。

「人生は祭りと一緒。にぎやかで楽しいほうがいい」

森口さんの言葉に、会場はあたたかい空気が広がりました。イベントが終わっても、登壇したみなさんと参加者が会話する姿が会場のあちこちで見られ、熱量にあふれていました。

森口さんと真拓さん・紗緒さんたちのお話からは、肩書きも年齢も超えた、お互いの歩み寄りで成り立った関係なのかなあと感じました。

旧森口金物店にてオープン予定の「本屋 ひとりごこち」。また、このトークイベントが行われた会場「偏愛デパートメント・やまにわ」も、もうすぐお披露目です。

どんな場所ができあがっているのか、ぜひ見にいらしてください!

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記事を書いた人:
かたおか 由衣

リゾート運営会社勤務と専業主婦を経て、2020年からライター。2男1女の子育て中。

教育や子育て、エンタメ、キャリアなどの分野で執筆中。2023年春から飯能在住。転勤族。

  • ライター・編集者
  • 子どもたち学校に行ったり行かなかったり
  • 親子ともに飯能暮らしを楽しみたい!

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