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ライター:つるまゆ

2025.05.19

「人を人として介護する」社会福祉法人「名栗園」理事長インタビュー

「人を人として介護する」社会福祉法人
「名栗園」理事長インタビュー

名栗園は、旧名栗村で介護事業をスタートさせてから50年以上の歴史ある社会福祉法人です。

「人を人として介護する」を理念に掲げ、地域との交流を大切に運営を続けています。今回、池田徳幸理事長にお話を伺いました。

よりよいケアの実現に向けて

介護ケアは今、集団ケアの時代から「個」を大切にするユニットケア、そして多分野の人材が専門性を活かしてケアにあたるチームケアへと移り変わっています。

よりよいケアを実現するために、介護ケアの環境を整えることに注力、プライバシーに配慮した個室や、気軽に利用できるリビングのようなスペースなど、ご自宅と変わらず気兼ねなく過ごせるような環境づくりを心がけています。

また、スタッフの介護知識や技能の底上げを図ることにも尽力してきました。資格取得支援制度によって、希望があれば取得にかかる費用を全額負担し、成長の機会を見守る体制をつくっています。

制度の利用が進み、現在ではスタッフのほとんどが、介護福祉士の資格保有者で、スタッフのご家族は、名栗園で介護ケアを受けてほしいと思っています。

働いているスタッフ自身が安心して家族を預けられるような場所であることが、名栗園が目指す介護ケア施設です。

スタッフ自ら考える、前向きな姿勢をバックアップ

介護ケアの質を高めるには、仕事に対する前向きな姿勢が大切になります。

介護現場の実情を一番理解しているのは、スタッフのみなさん。トップダウン型の組織では、いずれ思考停止の状態に陥りかねません。

現場でのオペレーションは、できるだけスタッフの主体性に任せ、一人ひとりが解決策を提案できるチームを目指しています。

スタッフどうしで課題を解決するためには、声を上げやすい現場であることが不可欠です。

名栗園では、勤務地以外のスタッフと一緒に働ける機会を設けています。さまざまな人と出会うことで風通しがよくなり、気心知れることで施設間の結束も高まったことを実感しました。

スタッフが当事者意識を持って、働きやすい環境をつくることが、利用者さまにとっても居心地のよい場所になります。

地域に開かれた「居場所」

名栗園では、運営当初から地域との関わりを大切にしてきました。

地域に開かれた社会福祉法人として、季節のお祭りやマルシェの開催、バスツアーなど、現在もさまざまな取り組みを実施しています。

あしかり園の敷地内にある「地域交流館」では、毎週さまざまな催しやイベントが開催される

ある年の夏祭りでは、地域の中学校に参加を相談し、たくさんの中学生たちと一緒に楽しみました。

介護は、地域に還元できる多くの技能や役割を持つ分野です。介護のリアルな世界を知ってもらうために、介護を含めた福祉教育の重要性をもっと伝えていきたいと考えています。

福祉は、保育や障がいの分野を含め、誰もがいつかは関わりを持つ可能性がある領域。そして「そのとき」は、ある日突然やってきます。

対応がわからず困ったとき「そうだ、名栗園がある」と思い出してもらえるような場でありたい。世代を問わず、頼ってもらえるような施設運営が、今後の名栗園が目指す方向性です。

2000年4月の介護保険制度施行以降、多くの施設が経営と真剣に向き合うようになりました。スタッフが安心して職務に集中するためには、安定した経営基盤を構築することが重要です。

常にアンテナを張り、施設運営に有益だと思えることは試してみる。「まずはやってみよう」の精神を大切にしています。

池田徳幸/IKEDA Noriyuki

【略歴】
平成5年 社会福祉法人名栗園 入職
平成21年 社会福祉法人名栗園 五代目理事長に就任
【役職】
一般社団法人埼玉県老人福祉施設協議会 会長
埼玉県社会福祉法人経営者協議会 会長
【資格】
社会福祉士

写真:赤井恒平

関連情報

法人名
社会福祉法人 名栗園
所在地
飯能市芦苅場805
TEL
042-974-7077
042-974-7077
FAX
042-971-0779
HP
https://nagurien.or.jp/
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記事を書いた人:
つるまゆ

長野県上田育ち→東京経由→埼玉県飯能暮らし/自然に囲まれた生活を愛して、2021年に移住/山と緑、自然食と手仕事、コーヒーを楽しむ生活

  • 職業は経理&ライター
  • 登山大好き
  • 和服大好き

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