広いホールにたくさんのおもちゃ…
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くらし
今や癌は日本人の2人に1人がなる病気。決して人ごとではないけれど、もしご自分や大切な人が癌になったら、あなたはどうしますか?
自分が癌になった場合を想像してみてください。治療が始まり、家と病院の往復…なんだか気持ちが沈んでしまいそうです。
人によっては具合が悪いからといって、静かに療養できるとは限らないことも。ご家庭があれば子育て中の人や、親の介護など忙しい人もいるはず。仕事をしている人は、今までと同じように働けるでしょうか。
そんなときは、一人で抱え込まないほうがよいかもしれません。
「ゆったりとした気持ちで、がんカフェに来てほしい」と話すのは、一般社団法人がんサポートナースの磯辺恭子さん。
思いの丈を全部話して大丈夫
磯辺さん主催のがんカフェ「ほっこりカフェ」は、毎月第1土曜日に南高麗福祉センターで開催されています。
がんカフェは癌になった患者さんやご家族、関わる方たちが安心して気軽に集える場所。予約不要で気軽に参加できます。費用は1回500円、お菓子とお茶が出ます。
癌の悩みや不安を話したり、病気以外のことを気兼ねなくおしゃべりして「ほっこりした気持ちになって帰ってもらえたら、うれしい」と磯辺さん言います。
病院の先生には聞きにくいこと、家族や友人になかなか言い出せない気持ちを磯辺さんや数人の看護師さんが寄り添い、お話を丁寧に聞いてくれるそうです。
「どんなことを話してくれてもいい。吐き出してくれて大丈夫」と磯辺さんは言います。
また「話したくない日もあるでしょう。そういうときは何も話さなくていいですし、自分に素直になって気分転換に顔を出してもらえたら」とのこと。
参加した患者さんどうしで情報交換や、心の支えになることも。そして、話したことはよそでは口にしないことが、がんカフェのルール。
参加した方からは「話せないと思っていたけど、行ってみたら話せた」「他では言いにくいことも、しゃべりやすかった」と感想をもらっているそうです。
磯辺さんのお母さんも癌だった
磯辺さんが飯能に住んで20年。ご主人の転勤であちこち地方をまわりましたが、飯能はとても暮らしやすく居心地がいいとのこと。
今でも市内のクリニックで現役看護師として働いているそうです。
若いころから病院の外来で働き、癌の患者さんを担当してきましたが、磯辺さんが30代のときにお母さんを癌で亡くされています。
60歳の若さで旅立ったお母さんの最期を看取った経験は、今でも忘れられません。
「もっと母親の気持ちを聞いておけばよかったと後悔しましたが、当時は私自身もしんどかったです。癌患者さんを持つご家族の気持ちもいろいろですので、がんカフェを開くことで少しでも気持ちに寄り添えたらと思っています」
大好きな看護師という職業。転職にめぐり会えたと思っている磯辺さん。
「これからも飯能でがんカフェを必要とする人が、自分らしく過ごせる場所をつくっていきたい」と話していました。
「私はたった一人の看護師だけど、これからはもっと地域に根ざした看護師さんになりたいなと思っています」
磯辺さんの穏やかな口調、やさしい微笑みがとても印象的でした。
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記事を書いた人:
飯塚 まりな
イラストレーター兼ライター(主に人物取材を好む)。最近は愛車で過ごす車中ランチが生活の一部。夢は発展途上国で医療や教育に関わる日本人の取材。
2021年に働く30代男女の仕事や生活についてインタビューした『〜西武沿線上で探した〜近所の30代「今」何してる?』を全国の天狼院書店発売(2022年1月まで)。
- 『ちいき新聞』レポーター(2020年〜)
- 『ショッパー』レポーター(2019年〜)
- 介護福祉士
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