特集・連載

書いた人:赤井 恒平

2022.11.05

飯能クリエイターファイル(No.13)日本画家・池山れいさん

飯能クリエイターファイル(No.13)
日本画家・池山れいさん

山と川に囲まれた飯能は、生活するのにはもちろん、制作環境としても魅力的なようで、たくさんのアーティストがアトリエを構えています。

そんな表現者たちの目線から、地域の魅力を紐解く連載記事「飯能クリエイターファイル」。13人目は日本画家の池山れいさんです。

「青」に魅せられた表現者

流れの少ない浅い水に満たされた場所に、もうずっと昔に枯れてしまったような真っ白な樹木が立っています。

この時間が止まったかのような一枚は、木の板に描かれた日本画家・池山れいさんの作品。

木目を生かし、青の濃淡で描かれた一枚は不思議な奥行きがあり、奥行きのある空間を感じさせてくれます。

絵画ですが、すべてが描かれたものではなく、木目を生かしているのも特徴。和紙や木など描き込むための「支持体(素材)」「顔料(自分で練り合わせる絵具)」「描き手」。

そのどれもが突出しすぎないよう、三者のバランスを大事にしているそうです。

色彩の美しさを伝えるために

池山さんは大学2年生のときに、自然の鉱石を絵具にした岩絵具に惹かれ創作活動をスタート。

その後、研究生時代に出会った「ベロ藍」という顔料に魅了され、その美しい青を多くの人に知ってもらおうと作品をつくり続け、現在は東京や京都を中心に各地のギャラリーで個展を開催しています。
 
一つの顔料から多彩な表情を引き出せるのが池山さんのすごいところ。顔料を溶く水を変えてみたり、温度や練り方を変えてみたり、顔料を定着させるニカワを変えてみたり。

様々な「ベロ藍」を表現しようと試行錯誤を続けています。過去には3か月かけて生み出した色もあるのだとか。

描写を捨てて、空気感を描く

「わたし、絵がうまくないんです」と、驚きの一言が飛び出しました。作品のインスピレーションを与えてくれるのは日常の景色や形、出かけた先で偶然出会った景色なのだそう。

その情景を具体的な場所として描くのではなく、その場所で感じた空気感のようなものを色と素材で落とし込んでいくのです。

そうすることで絵に不思議な奥行きが生まれ、観る人それぞれの物語が始まります。

「だから画家というより、色彩表現者だと思っています」と、笑いながら語ってくれた池山さん。ちょっと意外なコメントも、作品をみれば納得がいきますね。

賃貸情報サイトを見るのが趣味

池山さんが飯能にアトリエを構えたきっかけを伺いました。

「飯能に来る前は狭山市に住んでいました。とても暮らしやすく、ずっと住んでいたいなと思うくらい好きなまちでした。アーティストって作品をつくればつくるほど、保管の場所が必要になってくるんですけど、コンテナを借りてでも狭山に住み続けようと思っていたんです」

そんなある日、日課となっていた趣味の「寝る前に賃貸物件情報チェック」をしていたところ、見慣れぬ物件を発見。

一軒家で2階建て、驚くほど広いのに賃料はリーズナブル。池山さんはその場で内見を予約。

後日見に行った物件に一目惚れし、大家さんとも仲よくなり、飯能へ移り住むことになったのです。

「広い家に引っ越したので、陶芸の窯も買ってしまいました。絵画ではベロ藍を探求し、陶芸でも青をテーマにつくっています。やりたいことがまだまだたくさんあるんです」

飯能への引っ越しは、池山さんの表現の幅を広げてくれたようですね。

近くで個展が行われたときは、ぜひ池山さんの作品を観に行ってみてください。ディスプレイ越しではなかなか伝わらない、色彩の奥深さが体感できるはずです。

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記事を書いた人:
赤井 恒平

飯能生まれ。AKAI FactoryやBookmarkを手がけた、飯能リノベーションの第一人者。地域や人をつなぐ「橋をかける仕事」をしています。

  • AKAI Factory 代表
  • 埼玉県「まちなかリノベ賞」最優秀賞(R2年度)

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