たべる

ライター:とむ

2026.05.22

伝手が広げる笑顔と可能性「焼菓子製造 つて」

伝手が広げる笑顔と可能性
「焼菓子製造 つて」

食べることやつくることが好きな人なら、きっと抱いたことがある「仕事にできないかな」という気持ち。

たいていは、しぼんでしまうその気持ちを、今まさに「行動力」と「人とつながる力」で実現している女性がいます。

2026年2月、飯能大通り商店街にオープンした「偏愛デパートメント・やまにわ」のシェアキッチンに拠点を構え、こだわりのグラノーラを製造販売している小林萌里さん。

小林さんのお話からは、ワクワクがあふれ出していました。

人とつながり、やまにわに

今年から飯能で暮らしている小林さん。飯能へ遊びに来るうちに、自然が近く通勤もできる環境が気に入り引っ越してきたとのこと。

「暮らしやすいですね。自然が多くて空気感がゆったりしていて、何かと空いているので過ごしやすいです」

と飯能暮らしが気に入っているご様子。続けてこう言います。

「でも、不思議と人との距離感が近い。知り合いが自然にどんどんと増えていって、つながりたいと思った人とすぐつながれるんです」

取材中、たくさんの「つながりエピソード」を聞くことができました。まずは、やまにわのシェアキッチンを知ったエピソードからご紹介。

以前はグラノーラをつくるために、都内某所のシェアキッチンまで通っていた小林さん。毎回電車で素材や資材を運ぶのも大変だったそう。

ある日、飯能商工会議所の担当者から連絡があり、商工会議所の隣にシェアキッチンができると教えてもらったことで、やまにわへ拠点を移すことができました。

「以前、別のことを相談しただけなのに覚えていただいていたみたいで。都内のシェアキッチンに荷物を抱えて通うのは大変だったので、つないでいただいて本当にありがたかったです」

「電動自転車で荷物を運べる距離に拠点ができて、本当に助かってます。商工会議所に相談しに行ってよかった」と笑顔の小林さん。

都内と比べて人が少ないからこそ、手厚いサポートをしてもらえるのかもしれませんね。

また、調理時にかぶっている水色のキャップにもエピソードが。

「シェアキッチンが面している裏路地から、ガラス越しにキッチンがちらっと見えるんですが、あるとき外で声をかけられて」

地元のおばあさんが「何をつくっているのか気になっていた」と帽子を目印に声をかけてくれたそう。

「そんな風に気にしてくれる方もいるのがうれしくて、目印になるようにいつもかぶるようにしています」

多業種の人とのつながり

「偏愛デパートメント・やまにわ」には、ブックカフェ・鍼灸師・フレグランス・レジンアートなど、それぞれの店舗を営む店主、奥のアトリエを利用している彫刻家など、多業種の人が集まっていて楽しいという小林さん。

都内のシェアキッチンでは、時間貸しのキッチンをただ利用するだけで、他の利用者と話したこともなく、どんな人が来ているのか知ることもなかったそう。

「やまにわを盛り上げよう! みんなで頑張ろう! という感じがとてもいいです。どんなコラボができるかな、と考えてみたり」

ちょっとした疑問を共有できる相手がいるだけで、ビジネスのハードルも少し下がりますね。

「食品を販売するには、製造許可の取れた専用キッチンが必要で、設備にとてもお金がかかります。シェアキッチンって、試しにやってみたい人にとって本当にいい場所です」

「しかも、やまにわなら協力したり、お互いに情報を教え合ったりもできるので、もっと利用者が増えたらいいのにな、と思ってます」

ピカピカのシェアキッチン。まだまだ空きがあって、もったいないと感じている小林さん。

「オーブンもめちゃくちゃ高性能で焼きむらもないし、本当にいい設備が揃っていてありがたいです」

ゆったりとした作業台は広く、さまざまな機材もあって至れり尽くせり。素敵なキッチンが、挑戦したい人を待っています。

「ぴーんときた」グラノーラ

大学卒業後、花屋で働いていた小林さん。5年ほど働くなかで、花屋として独立するといった次の目標が描けず、楽しさを感じていた「食」を仕事にしようと決心して転職。

おにぎり屋、カフェのキッチンやホール、調理師と経験を重ね、食の業界を勉強してきました。

さらに小林さんは、将来の子育てなど時間の制約があるなかでも、自由に動きたい、アイデアを出す時間を楽しみたい、と考えるようになり、自分の事業を育てることを選びます。

そこで活きてきたのが、花屋が行っていたネット販売での経験。発送作業のノウハウも身についていて、ネット越しでもお客さんと心を通わせることができるという実感も得ていました。

「全国に届けられるって魅力だし、実店舗がなくてもいいかなと思って。ネット販売は自分で調整して仕事ができるのも魅力でした」

ネット販売で送りやすいもの、シェアキッチンでつくれるもの、焼菓子もいいけど自分としてはご飯系が好き…。

「ご飯にもなる焼菓子ということで、ぴーんときたのがグラノーラでした!」

小林さんが「つて」の屋号で販売しているのは、グラノーラ。オーツ麦などの穀物に蜂蜜などの甘みと植物油を加えて、オーブンで焼いたシリアルの一種。

オーツ麦は、厳格な基準で認定されたオーガニックのもの。ほんの少し加える塩にもこだわり、手軽さの中に愛がこもっています。

飯能産の玄米粉や狭山茶、地酒の天覧山の酒粕でチーズのような風味を出したもの。甘いのも、おつまみになるようなものもあり、焼いているときの香りで幸せになる、と小林さん。

「同世代の子がとても忙しくしていて。食のことを大事にしたいし、家族にもちゃんとしたものを食べさせたいけど、時間を取るのが難しい、キャリア的にも忙しい時期で…」

「しょくに助けられる反面、忙し過ぎると逆に食に追い詰められてしまう。グラノーラは、そんなときでも罪悪感なく食べられるもの。忙しくても栄養として取り入れられて、ほっとしてくれたら」

「グラノーラをたくさん食べてほしいというよりも、心の余裕をつくってほしいと思ってます」

食で 心に栄養を
暮らしに 息継ぎを

ほっとする優しいメッセージですね。

飯能で広げる可能性

飯能リノベLab」というワークショップに参加したのをきっかけに、そこで知り合った仲間と「怪談ナイト」というイベントも実現したい小林さん。

飯能各地にある販売場所や参加しているマルシェも、一緒に畑をする仲間のつてもあって、自然に広がっていきました。

今後、何かしたいことはありますか?と質問すると、

「私はお蕎麦が好きなんですが、飯能って立ち食い蕎麦がないですよね! 駅にあったら仕事帰りや登山帰りにさっと食べられていいと思うんです」

立ち食い蕎麦屋さん! かなりナイスアイデアです。

「食を軸に忙しい人を応援したいんです。たとえば調理を簡単にするようなアイテム、一本で味が決まるような調味料とか。自宅兼店舗で人が集まれるようなお店もいいなあ。人とつながりたいんです。ほっとする空間がつくれたらいいな」

小林さんの想いが人とのつながりを経て、無限に広がっていくイメージがわきました。

販売場所(2026年4月現在)

  • 本とビール カモシカ(カウンター)
  • OH!!! ~発酵、健康、食の魔法!!!~
  • ノーラ名栗「Cafe & Shop YAMASEMI」
  • さわらびの湯
  • マルシェに不定期参加

関連情報

店名(屋号)
つて(伝手)
所在地
飯能市本町1-9
偏愛デパートメント・やまにわ内
営業時間
水曜〜日曜・祝日 11:00〜18:00
駐車場
あり(3台)
ネット通販
https://tsute.base.shop/
Instagram
@kiitos_uliuli_

アクセス

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記事を書いた人:
とむ

初飯能から2週間で土地を決め、9か月後に都内を引き払い飯能へ。10か月の仮住まいを経て、2024年1月に本格移住。

家庭菜園と庭づくりをのんびり楽しむアラフィフ主婦。

  • 福岡生まれ、あちこち暮らし
  • 『コンピューターおばあちゃん』があこがれ

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