たべる

ライター:つるまゆ

2023.03.08

全工程にパン愛が詰まったパン「パンと日曜日」

全工程にパン愛が詰まったパン
「パンと日曜日」

とてつもなく美味しいパンがあるらしい、と編集部でウワサになっていた「パンと日曜日」の山本さんご夫妻。

取材をお願いしてみると、こころよく引き受けてくださいました。今回は知る人ぞ知る、絶品のパンをご紹介します。

山本さんがメインでつくっているのはベーグル、カンパーニュの2種類。軽くトーストしたベーグルは、外側がカリッと、内側はもっちりと弾力のある生地で、ザクフワの食感がたまりません。

カンパーニュは、粉にほんの少しの砂糖を混ぜてつくる、素朴で味わい深いパン。山本さんのカンパーニュは、手にずっしりと重みを感じるのが特徴です。

焼き上がる現場を見たいとお願いすると「いいですよ」とご快諾いただきました。

どこまでもていねいにつくられる、カンパーニュ

パンは、仕込みから一次発酵、分割、成形、二次発酵、焼成と、いくつもの工程を経て、やっとできあがります。

登場したのは、一次発酵を終えた後の生地。

生地を扱う山本さんの手つきが優しすぎて「いつも見とれてしまうんです」という奥さまの声に「酵母がつくった気泡がたっぷり入ってるから、潰さないようにしなきゃならないのよ」と山本さん。

取材中でもパンに向き合う姿は真剣です。サクサクと生地を切り分け、形を整えていきます。

二次発酵が終わったら、いよいよ焼成です。

「オーブンに入れるまでは時間をかけて、できるだけ手をかけるけど、私たちができるのはここまでなんだよね」と、オーブンの小窓を何度ものぞき込むご夫妻。

まるでわが子のように育ててもらって「パンと日曜日」のパンは、本当に幸せすぎます。

焼き上がりとともにオーブンから取り出すと、パチパチと香ばしい音が。

パンの表面にはきれいな焼き色がつき、クープと呼ばれる切り込みが均等に割れています。これは美味しいパンを見分ける大事なポイント。パン全体に火がバランスよく入っている証拠です。

カットすると皮の部分が薄く、中はしっとり。焼きすぎると皮が厚くなり、パンのしっとり感が失われてしまいます。

いかに水分を閉じ込めつつ、薄くパリッとした皮に焼き上げるかが腕の見せどころなのです。

パンづくりのきっかけは、10代のアルバイト

10代に経験した飲食業のアルバイトで、食を提供する喜びを感じた山本さん。その気持ちがずっと胸に残っていました。

ご夫婦で訪れた吉祥寺で出会ったパンに感動し、2006年にパンづくりを開始します。

月曜日から土曜日まで仕事をしながら、製パン学校に2年間通い、パンの知識を習得します。

あくまで趣味なので贅沢はできない、と最初は家庭用のオーブンからパン焼きをスタート。美しく開いたクープをつくるために、オーブンに焼き芋用の石を敷くなど、試行錯誤を続けます。

「業務用のオーブンを購入したら、一発で理想のパンが焼けたんです。結局は性能がよい道具が解決してくれるんですよね。だけど、いろいろと繰り返し試したからこそ『なぜこうなるのか』がわかるようになった。これは大きな収穫だと思ってます」

驚いたのは、パンを焼きながら、同じ時期に始めたサーフィンに毎週欠かさず通っているということ。継続の秘訣は「上手になりたいから」

酵母と波、どちらも思い通りに動いてくれないという共通点が。ままならない自然を相手に、ひたすら寄り添う粘り強さを感じます。

イベント初出店に向けて

こつこつとパンを焼き続けてきた山本さん。美味しさが評判を呼び、このたび「はんのーとマルシェ」に出店していただく運びとなりました!

山本さんご夫妻にとっても、初のイベント出店です。心境を伺うと…。

「私の大切な仲間が、いろいろな形で応援してくれたから、今回の出店が実現しました。本当に感謝しています」

歩みを止めずにパンをつくり続けた山本さんと、支え続けた奥さま。大量生産ができない貴重なパンと出会える日は、もうすぐです。

関連情報

店名
パンと日曜日
Instagram
@pan_nichi

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記事を書いた人:
つるまゆ

長野県上田育ち→東京経由→埼玉県飯能暮らし/自然に囲まれた生活を愛して、2021年に移住/山と緑、自然食と手仕事、コーヒーを楽しむ生活

  • 職業は経理&ライター
  • 登山大好き
  • 和服大好き

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