2025年2月、西武池袋線吾野…
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たべる
原市場にあるカフェ「ハライチ・ナチュラリア」。金曜日の飲みものを担当しているのが「森見ル焙煎所」の百瀬拓也さんです。
手焙煎で希少な豆の美味しさを引き出す
拓さんのコーヒー豆は全て手焙煎。
マシンでの焙煎と比べると、香りや色といった煎り具合が確認できるメリットがありますが、少しでも気を抜くと煎りムラが生まれるため、かなりの集中力が必要です。
丁寧に焙煎されたコーヒーを提供する様子を見せていただきました。
計量した豆を挽き、温度を確認しながらゆっくりとお湯を注いで…「お湯を注ぐのは、これで終わりなんです」
あれ?注ぎ口の細いケトルで量と速度を一定に保ちながら、フィルターへ静かに注ぎ入れる、話しかけちゃダメな雰囲気の淹れ方はしないのですか?
「豆の美味しさを引き出すベストな方法として、この淹れ方にたどり着きました」
ドリップコーヒーは、お湯を注ぐ速度、分量、注ぎ方によって味が変わります。
味を安定させるために、不確実な要素が生まれるステップを削ぎ落とし、お湯の温度、粉とお湯の量、時間といった絶対に欠かせないポイントを押さえた淹れ方に行き着きました。
一見するとラフな淹れ方に見えますが、そこは手焙煎にこだわる拓さん。淹れ方にも計算されたシンプルさがありました。
カフェは自分の時間を大切にしたい方が過ごす場所。コーヒーを淹れるのにかかる時間を、居心地のよい空間を提供するために使いたいという拓さんの姿勢が表れています。
お客さんが求めているコーヒーの味を想像する
「コーヒーを淹れるときは、注文された方の表情や雰囲気を観察します。どんなコーヒーが飲みたいのかな、って」
淹れていただいたコーヒーを飲んでみると、柑橘系やナッツの香り…といった味の表現はうまくできませんが、頭の奥でピカッと光がはじけて、雲が晴れたようなさわやかな感覚がありました。
豆はバリ島やネパールなど、まだ流通する前の希少な産地のものを使用。有機栽培や森林農法など、環境に配慮したつくり手の豆を取り扱っています。
「コーヒー豆は農薬や殺虫剤、森林伐採など、環境を汚染することで知られる農作物です。一方でコーヒーが多くの人にとって毎日欠かせないものであることも事実。それならば、環境と変えようと奮闘し、虫や微生物を大事に扱っている農園のコーヒーを取り扱って、応援したいと思ってます」
出会いによって広がった、飯能での生活
森見ル焙煎所の活動は、ご家族で飯能へ引っ越すことを機に始まっています。
友人を介して出会った物件での生活が、ご夫婦の思い描いていた世界に近いことが移住の決め手となりました。
今は店舗を持たずに活動を続ける拓さん。これからの展望を伺うと、コーヒーは自分を表現するための手段の一つだと話してくれました。
「飯能へ来て、目線の近い仲間と出会い、活動の幅が広がりました。自分が地域に活かされているという感じもしています。これからも『何をするか』にこだわらず、ワクワクするような方向へ進んでいければいいな、と思っています」
森見ル焙煎所では、コーヒー豆の受注焙煎や淹れ方のセミナーを開催するほか、イベントやマルシェにも出店しています。
自分のために焙煎された豆でホッとできる時間を楽しみたい方に、おすすめの焙煎士さんです。
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記事を書いた人:
つるまゆ
長野県上田育ち→東京経由→埼玉県飯能暮らし/自然に囲まれた生活を愛して、2021年に移住/山と緑、自然食と手仕事、コーヒーを楽しむ生活
- 職業は経理&ライター
- 登山大好き
- 和服大好き
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