たべる

ライター:つるまゆ

2023.02.06

魚介系の出汁と鶏のうまみが、じわっと染みる「中華そば きなり」

魚介系の出汁と鶏のうまみが、
じわっと染みる「中華そば きなり」

飯能の美味しいラーメン屋といえば、必ず店名が上がる「中華そば きなり」。飯能駅北口から徒歩3分と、来店しやすい場所にあります。

白を基調とした店内は明るく、絵画や観葉植物が置かれるなど、まるでカフェのようなお店です。

厨房を囲むように配置されているカウンターの席数は9席。通常よりも幅広の天板が使われているので、座ったときの圧迫感がありません。

さっと食べてさっと出る、というラーメン屋のイメージとは違う雰囲気に、リラックスして待っていたら醤油そばができあがりました。

シンプルなのに、味わい深い

煮干しのよい香りとともに、目の前に置かれた醤油そば。きちんと並んだ具材をかきわけて麺をすすると、今度は醤油の香りが口いっぱいに広がります。

淡いピンク色が印象的なチャーシューは、熱で色が変わる前に、あわてて口に放り込みました。

ひと口目のインパクトがやわらかな味つけなので、いつまでも飽きずに食べ続けてしまいます。

茹でた青菜の甘さや、穂先メンマのコリコリとした歯触りなど、厳選された具材が食感に変化を与え、食べることに夢中。あっという間にスープまで飲み干してしまいました。

もうすこし食べたいな、そんなときにうれしいのが「和え玉」。

よく混ぜてそのまま食べても、残ったスープに入れて食べても美味しい麺のおかわりです。

雑味が味の印象を変える

お品書きには、再仕込み醤油やパエリアの色づけに使うサフラン、高知の仁淀川ぞいで採れる山椒など、こだわりの食材が使われています。

店主の土橋健司さんがラーメンの世界に入ったのは30代。材料を選び抜く感性は、和食やフレンチの世界で修行を重ねた経験から生まれました。

さまざまな食への興味、関心が、ミシュランに選ばれるラーメンを生み出しているのです。

「一番こだわっているのは、なるべく雑味を感じさせないことです。雑味は味を決める要素の一つと言われていますが、雑味による味の印象が強すぎると、食べている途中で飽きてしまう気がします。ラーメンのつくり手として、最後の一滴まで美味しく食べてもらえる一杯を目指しています」

魚介を中心に、干し椎茸、日高昆布、鶏肉など5〜6種類の出汁をブレンドしてつくる、きなりのスープ。素材によってベストな旨味が出るタイミングは異なります。

「雑味のないクリアな味にするために、火を入れる時間の長さ、煮出す温度など素材ごとの見極めが大切です。魚介系の出汁は火を入れたときが美味しさのピークですが、動物性の出汁は味が安定しないため、火入れの直後にはブレンドできません。一晩置いて、味が落ち着いたものを使います」

飯能で感じた「暮らすこと」の意味

現在は住まいを飯能へ移している土橋さん、加奈さんご夫婦。移住を決めたのは、住宅展示場で見かけた「暮らし方を選ぶ」というキャッチコピーがきっかけ。

想い描きはじめた未来の姿に、以前から訪れていた飯能の風景が重なりました。

庭で採れる梅や柿で、梅酒や干し柿をつくったり。庭でのバーベキューも経験済みと、郊外での暮らしを楽しんでいるお二人ですが、本当はまだまだやってみたいことがあるようです。

「家の隣には、野菜を育てているご近所さんの畑があって、すぐ近くには里山が広がっています。しばらく中止になっている地元のお祭りにも参加してみたい。飯能に残る自然や文化と自分たちの生活が、もっと近づけばいいなと思ってます」

東京の駒込からはじまった、土橋さんのラーメンに向き合う毎日に、飯能での暮らしが新しい色をプラスしていくのかもしれません。

写真:渡邉優太

関連情報

店名
中華そば きなり
所在地
飯能市柳町7-9 誉田ビル1F
営業時間
11:00〜15:00(L.O.)
定休日
火曜日・第2水曜日
Twitter
@nh2xhabq1hj9oot

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記事を書いた人:
つるまゆ

長野県上田育ち→東京経由→埼玉県飯能暮らし/自然に囲まれた生活を愛して、2021年に移住/山と緑、自然食と手仕事、コーヒーを楽しむ生活

  • 職業は経理&ライター
  • 登山大好き
  • 和服大好き

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