「竹寺」と呼ばれ、多くの方に親…
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たべる
飯能グルメといえば、必ずと言っていいほど名前があがる「古久や」。江戸時代末期から続くうどんの名店で、店主の細川さんはなんと6代目。
「昔は林業が盛んだったので、力仕事をされている方に多くご利用いただいていましたが、今は観光客の方のご利用も多いですね」
時代が変わればお客さんの層も変わります。その中で、これだけ長く多くの方に愛されるお店であり続けることは容易ではないはず。
今回はその秘密を探るべく、細川さんに昔から変わらない点と、時代に合わせて変えてきた点についてお話を伺いました。
変わらない点
つゆ
開店当初からカツオとサバ節、醤油で構成されるつゆの味は変わっていません。食べたときに、濃口醤油に負けないくらい、しっかりと出汁の味が感じられるのは、カツオとサバ節をたっぷり使っているからだそう。
具材
名物「肉つゆうどん」の具材の構成は昔から変わらずシンプルに豚肉、ネギ、シイタケ。
ネギは太さにこだわり、スーパーで売っているのが通常Lサイズなのに対して、こくやでは2Lサイズのネギを仕入れています。
「シイタケは生ではなく、干したものを使っています。そのほうがシイタケから出汁が出るし味が染みやすいんですよ」
分厚く切られたシイタケを噛んだときに、口にジュワッと広がるつゆの味がたまりません。
うつわ
うどんを盛るうつわは祖父の代から同じものを使っています。昔は足りなくなったタイミングで買い足していましたが、ある時期に生産がストップし、出回らなくなってしまったそう。
どうしても同じデザインのうつわを使いたいと、飯能銀座商店街にある菊屋さんにオーダーメイドでつくってもらうほど、こだわりが。
「ぼくが小さい頃から、このうつわを使っていたので思い入れがあります。お客さんにもこくやといえばこのうつわというイメージがついていると思います」
地域とのつながり
店内を見渡してみたときに目についた、ずらりと並ぶカレンダー。細川さんは地域のお祭りの運営にも関わっているそうで、昔から地域とのつながりを大切にされています。
この姿勢が観光客の方にはもちろん、地域の方にも愛されることにつながっているのだなと感じました。
変わった点
麺の加水率
昔は、太くてもっちりした武蔵野うどんに近い麺でしたが、近年は女性や高齢者の方の利用も多いことから、細くて喉越しがいいさぬきうどんのよさも取り入れた、いいとこ取りな麺になるように加水率を調整したそう。
肉の部位
昔は豚のもも肉だけでしたが、細川さんの代から、つゆに脂っ気を足すためにバラシャブを加えたりと、肉の部位にバリエーションを出しています。
薬味
味のバランスのよさが特徴的な薬研堀の七味に加えて、細川さんの代になってから「ゆず香」を提供するようになりました。
「ゆず七味や他のゆず香も試しましたが、このゆず香のさっぱり感が一番うちのつゆに合っていたんですよね。製造されている会社に問い合わせをしたら、小売はされていないということで…でも諦めきれずダメ元で会社に伺って、社長さんと直接交渉をして、卸していただいています」
ゆず香を途中投入すると、さっぱりとした味わいになり、さらに箸が進みます。
変わらず愛され続けるための秘密は、伝統を守りつつも、より時代やお客さんに合ったお店になるための試行錯誤だったのですね。
と感心していると細川さんが、秘密というほどではないのですが…と切り出しました。
「『肉たぬき』という裏メニューがあります。肉がけの揚玉のせなんですが、知る人ぞ知るって感じです。最近SNS等で知った方がご注文されます」
なんと!裏メニューを教えてくださるなんて。
「ぜひ食べたい!」と思いましたが、すでに普通盛(600g)の肉つゆうどんを平らげた直後だったので、今回は断念…(涙)。そのため写真も撮れず…。次回行くときは絶対に頼むぞ!
気になる方はぜひ来店して「肉たぬき」と注文してみてくださいね。
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