はたらく

ライター:飯塚 まりな

2024.10.15

素朴なあんこを食べよう「横山製餡所」

素朴なあんこを食べよう
「横山製餡所」

10月初旬、雨がしとしと降る中、お邪魔したのは飯能河原そばにある横山製餡所。

「飯能に、あんこの会社があります」と飯能市の農業振興課の方に教えてもらい、クリエイター数人と行ってきました。

迎えてくださったのは、3代目の横山和也さん。大正時代に祖父母が始めた菓子店の下請け業から、父親に引き継がれ、孫だった横山さんへ。家族代々あんこ一筋で事業を続けています。

14年前までは、工場に小豆を煮る大きな釜が3つほどあったとか。あんこはまず小豆を洗い、釜でぐつぐつと煮ていきます。

あく汁を取り、皮を取り去り、身だけを水槽に入れて水にさらし、付着している不純物を取るなど、当時は職人の力仕事が光っていました。

現在は工場を閉めて、横山さんは北海道、カナダ、ミャンマーなどから小豆を取り寄せ、あんこを必要とする埼玉県内のお店に配達をしています。

「あんこ、食べてみますか?」と言いながら、目の前に用意してくださった大きな袋が3つ。

写真左から、こしあん、つぶあん、白あんです。味見させてもらうと、なんとも素朴な味で、しっかり豆の風味が口に残ります。

砂糖の入る前のあんこは、もちろん甘くないですが、これはこれで健康的で美味しいなと思いました。

お店の予算に応じて、生産地や甘さも変わるというあんこ。飯能市内では有名な大里屋の四里餅、英国屋のパン、伊勢屋の和菓子などで使われています。

飯能人なら誰でも一度は口にしているのが、横山製餡所のあんこなのです。

こちらは何かわかりますか? これはあんこの甘さを測る糖度計で、楽器の先端、マウスピースのような形をしています。

よく見ると先にあんこが挟んであり、明るい方向を向いてピントを合わせながら覗くと、目盛りが見えます。

ちなみにこのときは「46」という数字が出ました。あんこの中では甘さが控えめ、ということ。

逆に日持ちする最中や饅頭に入っているあんこは「70」以上と高い糖度になります。ふだん見ることのない機械に触れて、楽しい体験ができました。

今では製餡所自体が少なくなり、横山製餡所は貴重な存在です。「続ける限り、お得意さまとの信頼関係を大切にしたいです」と横山さん。

まわりで聞いていたクリエイターのみなさんも「うちのお菓子にも使えるかも」「あんバターサンドに使ってみたい!」などと話していました。

横山さんは「最近は『屋』のつく職業が減り、さびしい」とのこと。確かに、昔ながらの○○屋は少しずつ姿を消しています。

ここ最近は飯能にお店を出す人も増えているので、今後に期待できるのではないでしょうか。一般のお客さんへの小売も可能ですが、500グラム以上から、とのこと。

無添加で甘さ控えめの美味しいあんこが気になる方は、ぜひ横山製餡所に立ち寄ってみてくださいね(※事前にお電話お願いします)。

関連情報

名称
横山製餡株式会社
所在地
飯能市飯能267-1
TEL
042-972-2576
042-972-2576
定休日
月曜日
駐車場
あり

アクセス

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記事を書いた人:
飯塚 まりな

イラストレーター兼ライター(主に人物取材を好む)。最近は愛車で過ごす車中ランチが生活の一部。夢は発展途上国で医療や教育に関わる日本人の取材。

2021年に働く30代男女の仕事や生活についてインタビューした『〜西武沿線上で探した〜近所の30代「今」何してる?』を全国の天狼院書店発売(2022年1月まで)。

  • 『ちいき新聞』レポーター(2020年〜)
  • 『ショッパー』レポーター(2019年〜)
  • 介護福祉士

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