はたらく

ライター:オオタケ ユウスケ

2024.04.15

林業の課題解決に取り組む、若者3人組「西川Rafters」

林業の課題解決に取り組む、
若者3人組「西川Rafters」

「地域の森を活かしきり、人々の生き方を豊かにする」。そんなミッションを掲げて、2022年に設立された合同会社西川Rafters(ラフターズ)。

飯能の林業の課題を、生産側と使う側の両面から解決しようと、森林整備の現場管理を行いつつ、企業向けの研修会や山林所有者向けの相談会などを開催しています。

代表の若林知伸さん、共同設立者の井上峻太郎さん、茂木魁都さんに、創業の経緯や今後の目標について伺いました。

写真左から、若林さん・井上さん・茂木さん

山に関わる人も、マーケットの目線を持つ

メーカーでの勤務を経て、森林組合の職員として仕事をしていた若林さん。経済効率性の観点から、伐採されて放置されている木材がある現状に問題意識を持っていました。

そこで、代々飯能で林業を営む井上さんと、森林組合の元同僚で現在は林業会社で働く茂木さんに声をかけ、同世代の3人で起業したのが、西川Raftersの始まりです。

井上さんの所有林

起業の準備段階で、ビジネスプランニングコンテストに出たところ「プロダクトアウト(つくり手目線)」だけでなく「マーケットイン(顧客目線)」を持つようにと、メンターからアドバイスを受けました。

「マーケットインの発想で、森と関わる人々が収益を上げるにはどうしたらよいのか?」を考えた3人。

「木を使う側の設計士や施工業者の理解を得られれば、木材活用の幅が広がるのではないか」という仮説を立て「木材流通を題材とする企業研修プログラム」を始めました。木材を使って空間をつくる企業の社員に、森や製材所を案内する内容です。

「木材、特に地域材を使える状態にするには、伐採・乾燥・製材の時間が必要。注文をもらっても、すぐにまとまった量を届けることはできない。工業製品とは異なる事情を使う側にも理解いただいて、たとえば今ある材からつくるものを検討するなど、仕事のあり方を変えていきたい」と若林さんは語ります。

今年4月には、日比谷ミッドタウンのイベントに展示で協力と、マーケット側とのコラボレーションが少しずつ進んでいます。

さらに一般の方を対象に、6月にはカードゲームで森林と林業を学ぶイベントも企画しているそうです。

企業研修プログラムの様子

林業の課題を解決するため、山主向けの相談会も開催

地域の森林整備を進めていくうちに、山側の問題も感じるようになったというRafters。

たとえば、森林の境界がはっきりしていないこと、木材価格が安すぎて伐採しても利益が出ないこと、獣害が深刻なこと、などがあります。

「山主さんたちも、自分たちの山をどうしたらいいのかわからない…」

そこで、山林所有者を対象とした相談会「山のお悩み相談会」を2023年夏からスタート。今後は各地域の公民館などでの開催を予定しています。

相談会の会場

山林を相続したものの、どのように管理していけばいいのかわからない、という相談も多いとのこと。

まずは「どこにあるのか?」「境界は確定しているのか?」と現状を把握することからスタートし、状況に応じて森林整備を進めるそうです。

作業用の林道をつくり、枝打ちなどの管理を行い、やがて伐採し、植林する。山林を生きた状態で保ち、活用する。その道のりは長いですが、Raftersの3人の伴走があれば、安心ですね。

山に関わる仕事で生活できる若者を増やしたい

まだ30歳前後と若い3人ですが、西川Raftersのゴールをどのように描いているのでしょうか?

「林業や木に関わる仕事で食べていける人が十分にいることです。若い世代で森林に関わる人が増えて、地域の森林産業が盛り上がってくれたら、私たちの仕事が報われたと感じます」と若林さん。

研修プログラムで企業との関係を広げる若林さん、代々営む林業と木工房「木楽里」を通じて一般消費者と森林の接点づくりに取り組む井上さん、2人を現場作業のノウハウや制度面でサポートする茂木さん。

西川Raftersでは、一人ひとりの特性を活かして、お互いを補い合って事業を展開しています。

地域の林業を取り巻く環境は、乗り越えるハードルが高いからこそ、連帯して取り組む必要があります。その仲間になってくださる方がいらしたら、ぜひ3人に会いにお出かけください!

関連情報

社名
合同会社西川Rafters
(略称:西川ラフターズ)
所在地
飯能市井上123-1(木楽里 内)
駐車場
あり
HP
https://www.nishikawa-r.com/
Facebook
@nishikawarafters
Instagram
@nishikawa_rafters

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記事を書いた人:
オオタケ ユウスケ

埼玉都民のための「ライフタウン」メディア「西埼玉暮らしの学校」を主宰する地域の編集者。西武池袋線「西所沢」で土曜日だけ開店する小さな書店「サタデーブックス」を経営。埼玉ハンノウ大学の運営ディレクターとしても活動中。

  • 「西埼玉暮らしの学校」主宰
  • 「サタデーブックス」店主
  • 埼玉ハンノウ大学・運営ディレクター

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