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ライター:赤井 恒平

2023.04.24

飯能はこんなにおもしろい! 飯能市立博物館「きっとす」

飯能はこんなにおもしろい!
飯能市立博物館「きっとす」

南側には飯能河原、北側には天覧山を望む絶好のロケーション。ここ飯能市立博物館は、まちに残る資料を集め、価値を見つけ、収蔵・展示をしている「飯能のことを知りたい!」という人にぜひ訪れてほしい場所です。

と、書いている私ですが、飯能出身にも関わらず恥ずかしながら行ったことがありません(ごめんなさい!)。

きっと私以外にも「行ったことがない」という人がいると思い、博物館の魅力をお伝えすべく取材に行ってきました。

まちの記憶、山の記憶、そして里の記憶

取材を引き受けてくださったのは、館長の尾崎さん(写真左)と学芸員の引間さん。まずは博物館の歴史からお聞きしました。

「当館は平成2年に郷土館として設立されました。その後、平成30年に博物館としてリニューアルし、愛称を公募して市内の小学生とそのお母さんの案が採用されて『きっとす』となりました。あ、そうそう設立資金の一部は、丸広百貨店さんからのご寄付なんです。現金2億円が市長室に持ち込まれた写真も展示してありますので、ぜひ観てください」

さっそく興味津々な情報をありがとうございます。尾崎館長も引間さんも、とてもフレンドリーでおもしろい方です。そんなお二人に館内を案内してもらいました。

博物館の中は、歴史・自然・西川材・企画展にゾーニングされています。

自然ゾーンには、天覧山に生息している日本一小さなネズミ・カヤネズミのぬいぐるみ(職員の方の手づくり!)があったり、市内各地の花の開花情報を展示してあります(職員の方々が頻繁にフィールドワークして情報更新!)。スタートから情熱を感じます。

企画展では「祝う・寿ぐ–きっとすの吉祥文様−」が開催されていました。豪華絢爛なものから、縁起のよい模様をあしらった生活用品まで様々なアイテムが並んでいます。

そして、一番奥にある歴史ゾーンは「山」「まち」その中間にある「里」の3つに分けて展示してあります。見どころは写真をもとに再現した昔の大通りのジオラマ(館長イチオシ)。

飯能が入間や狭山よりも人口が多かった頃のにぎわいを再現しています。当時は店の前にこんなに広い空間があったんですね。

もう1つは当時の西川林業を再現したエリア(引間さんイチオシ)。丸太を伐り出して運ぶために足場を組み、ソリのような木馬で川まで運び筏にして東京(江戸)へ送っていたのだそうです。

そして最後は国の重要文化財にも指定されている、平安時代の仏像(軍荼利明王立像レプリカ)。

決して超絶技巧とは言えませんが、在野の仏像として貴重な資料なのだそうです。飯能にそんな貴重なものがあるなんて知りませんでした。

記録から未来を考える

飯能は山間の人たちや里の人たちが、生活用品を買いに来る市ができたことで生まれたまちだったのだそう。そこから木材や絹の中継地点となり、東京のベッドタウンとなって今に至ります。

いま飯能へ移住してくる方は、登山や自転車、農業など自然環境を求めているケースが多いように感じます。図らずも、100年前と同じように都市と自然の中間だからこその魅力が見直されているのかもしれません。

過去から学べることは、もっとたくさんありそうです。

今後、博物館はデジタルを活用して来館のきっかけをつくっていきたいとのこと。個人的な願望としては、尾崎館長や引間さんのギャラリーツアーをやってほしいです。

スタッフの方々の熱い想いやちょっとした裏話など、実際に来館しないと体験できない楽しさをたくさんの人に感じてもらいたい。

今回の博物館取材、密度の濃い時間を過ごさせていただきました。ここが入館無料だなんて信じられません。

まだ行ったことのないみなさん、ぜひ一度お出かけください。ここに来れば、知らなかった飯能と飯能愛あふれる人たちに出会えるはずです。

関連情報

施設名
飯能市立博物館(きっとす)
所在地
飯能市飯能258-1
TEL
042-972-1414
042-972-1414
開館時間
9:00〜17:00
休館日
月曜日
HP
https://www.city.hanno.lg.jp/kanko_bunka_sports/museum/
Twitter
@Hanno_museum

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記事を書いた人:
赤井 恒平

飯能生まれ。AKAI FactoryやBookmarkを手がけた、飯能リノベーションの第一人者。地域や人をつなぐ「橋をかける仕事」をしています。

  • 飯能市キーマン
  • AKAI Factory 代表
  • 埼玉県「まちなかリノベ賞」最優秀賞(R2年度)

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