はたらく

ライター:飯塚 まりな

2024.09.05

姉妹でわきあいあい、果汁たっぷり「小久保果樹園」

姉妹でわきあいあい、
果汁たっぷり「小久保果樹園」

9月初旬、飯能市農業振興課の方が主催した「規格外農産物の活用を考える会」に参加してきました。

前日まで台風10号の影響でどうなるかわからず、いつ中止になってもおかしくない中、当日は気持ちのよい晴天に!

今回は飯能市川崎にある小久保果樹園さん。参加者は市内の生産者やクリエイター、埼玉わっしょい大使などが集まりました。

地域の交流を活かしながら、農家さんと一緒に何かできないか。お互いにアイデアや希望が合えば、新しい取り組みが生まれるかもしれない。そんな可能性のあるマッチングツアーです。

さっそく、ジューシーな梨とぶどうの試食をしながらスタート!

この日、試食した梨は彩玉(さいぎょく)、幸水(こうすい)、豊水(ほうすい)。ぶどうはグロースクローネ、藤稔(ふじみのり)をいただきました。

どの品種も果汁たっぷり! それぞれ酸味や甘み、食感などが違うため好みがありますが、どれを食べても大満足。

先日の台風では、あまり影響を受けなかったという運のよかった梨とぶどうたち。旬のフルーツを食べると、パチっと目が覚めます。

でも、強風や強い雨が降れば梨は落下し、ぶどうは傷つくことも。形が悪ければ、市場には出荷できず廃棄しなくてはなりません。

小久保果樹園は、60年以上続く家族経営の農家さん。現在は娘の飯嶌さんと竹田さんが実家の果樹園を引き継いでいます。

「廃棄する梨やぶどうは破格の価格で販売し、ジャムにするなど無駄のないようにしています。私たちの収入は夏から秋が勝負。1年間、常に果物の成長を見守り、丁寧に育てますが、ハクビシンやイノシシに食べられてしまうなど課題もあります」と飯嶌さんが現状を教えてくれました。

農園内に入ると、想像以上に棚が低く、前かがみになりながら、みんなで一列になってゾロゾロと。先代の叔母さんの背に合わせて、低めの棚になっているんだとか。

なんと、ある梨の木は1本の幹からきれいに3本に分かれていました。「不思議だな〜」と思って見ていたら、実は接木をしていて、品種まで分けてしまうのだそうです。

同じ木なのに、1本の枝は「彩玉」、もう1本には「にっこり」と札が付いています。

ぶどうは巨峰以外にも、大粒のマスカットがたわわに実っていました。近寄ってみると、顔の大きさほどのマスカットが。

美味しそうですが、これも大きさの問題で規格外に。なんだか、もったいないですね…。

「冬場の仕事は、棚の大きさに合わせて伸びていく枝を折り、ねじ曲げていきます。ぶどうは人間がつくらなければ、みなさんの口に入るようなあの形にはならないんです」と竹田さん。自然現象ではできないことを初めて知りました。

もともと、飯嶌さんと竹田さんは小久保家からお嫁に行った後、全く別の仕事をされていたそうです。

二人きりで本格的に果樹園を運営するのはまだ数年。はじめは渋々、父親の姿を思い出しながら姉妹で協力し合い、試行錯誤の日々。ですが、最近は少し思いが変わったとか。

「今回のマッチングツアーのように、最近は飯能で働く若い方々とお話する機会が増えたことで元気をもらっています。活気があって、とてもいい刺激です。私たちも頑張っていこうと思います」と姉妹でにっこり。

最後は参加者と小久保果樹園によるディスカッション。お話の途中で、CAFE GERANの安齋さんがつくった小久保果樹園の梨タルトとアイスコーヒーを贅沢にいただきました。

小久保果樹園では、もぎとりができて、直接お客さんの顔を見ながら販売するのがモットー。

ぶどうは9月中旬、梨は11月頃まで(梨狩りは10月頃まで)なので、気になる方はお見逃しなく。

今後も農家さんとのマッチングツアーは続く予定だそうです。次回はいったいどこでしょうか? どうぞお楽しみに!

関連情報

名称
小久保果樹園
所在地
飯能市川崎223-1
TEL
042-972-5887
042-972-5887
営業時間
10:00〜16:30
休園日
月曜午後
Instagram
@kokubokazyuen

アクセス

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記事を書いた人:
飯塚 まりな

イラストレーター兼ライター(主に人物取材を好む)。最近は愛車で過ごす車中ランチが生活の一部。夢は発展途上国で医療や教育に関わる日本人の取材。

2021年に働く30代男女の仕事や生活についてインタビューした『〜西武沿線上で探した〜近所の30代「今」何してる?』を全国の天狼院書店発売(2022年1月まで)。

  • 『ちいき新聞』レポーター(2020年〜)
  • 『ショッパー』レポーター(2019年〜)
  • 介護福祉士

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