2020年10月にオープンした…
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はたらく
「人をうらやんじゃだめよ、自分らしく生きればいい」
そんな言葉をかけられたら、あなたはどんな気持ちになりますか?
2018年「在宅復帰超強化型」施設として指定された、介護老人保険施設「飯能リハビリ館(以下、リハビリ館)」。通所リハビリ、ショートステイ、入所が施設の三本柱だ。
病気やケガなどで入院し、住み慣れたわが家に戻るまでの間、看護・介護・リハビリなど専門職につくスタッフが連携をとり、利用者の生活を支え、ともに在宅復帰を目指す。
今回お話をうかがったのは、介護職についたケアワーカーのおふたり。介護職における「3K」、きつい、危険、汚いと呼ばれる業務をどう感じているのか。
未経験で介護の仕事へ
30歳ではじめて介護の世界に飛び込み、今年で入職8年目の小林さん。
小林さんは前職に旅行会社、工場作業員と職歴があり、つぎの転職先を考えていたところ、友人の紹介でリハビリ館で働くことになったそう。
「特別『介護をしたい!』と思っていたわけではなく、やったことがない仕事につきたかったんです」
右も左もわからないままケアワーカーになったが、はじめから排泄介助も特に抵抗なく、一つひとつ目の前の業務を忠実にこなした。
現在は一般棟と呼ばれる入所施設で、職員や利用者の事故防止・ヒヤリハット管理を行う担当を任されている。
「コミュニケーションがいかに大切かを感じますね。些細なことでも情報をいかに入れるかで事故を未然に防げるのでは、と思っています」
旅行会社時代、高齢者の旅行客への対応や工場作業員での業務中に感じた危険やリスク回避の重要度を認識しているからこそ、活かせることがあると小林さんは感じている。
介護職についてから身体をこわしたことはないか質問したところ「大丈夫です、寝たらストレスが発散されるタイプ。工場で働いていたときのほうが重いものを運んでいたので、ボディメカニズムを意識できています」と笑った。
2022年3月からは、20歳も年の離れた新入社員の指導にあたっている。
「働くからには介護のおもしろさを感じてもらえたらなって。介助の動作に意味や目的がわかっているほうが、楽しく取り組めるんですよね。わからないままだと残念ながら辞めてしまう人が多いと思います」
同時に指導するようになって、自分自身がまだまだ知識不足と気づかされたと話す。
「今は仕事の合間にすこし勉強しています。教えることではじめてわかることもある。自分を見つめ直すことで仕事がさらに楽しくなってきましたね」
一緒に働く職員はみな、ほどよい距離を取りながらチームワークのよさを保っていると笑顔で話してくれた。
「実はぼく人見知りなんです」とおだやかな口調で話す小林さんに、今後教わりたいと思うケアワーカーは多いだろうなと思えた。
利用者さんの言葉が、自分の糧に
つぎに施設の1階にあるデイケアで働く角田さんにお話をうかがう。
デイケアは自宅から通いの利用者に対し、入浴や食事の提供、レクリエーションを行いながら、一日の生活を細やかにサポートする仕事。
リハビリ館で働く前から介護職についていたが、先に働いていた友人の誘いで職場見学をしたところ、施設の玄関から感じるよい雰囲気に気持ちを後押しされて就職を決めたそう。
「入ったころからみんなが優しくしてくれました。質問しやすい環境で、仕事がおぼえやすかったです。子育て世代の職員が多く、最近では男性職員でも育休が取れると聞いていいことだと思います」
仕事と子育ての両立は大変ではないか、質問してみた。
「子どもの予定が入りお休みしたいときは、すぐ上司に相談します。いつも快く対応してもらって助かります。私はシングルマザーで、春から中学生になる息子が、最近は車いすに興味を持ったり、外を歩いている高齢者の方々を気にかける様子を見て、自分の働く姿から何か感じてくれてるのかなって…」
「あとBTSのファンクラブに入ったので、通勤中に音楽を聴いてオンとオフを切り替えています」と笑顔を見せた。
角田さんは会話の中でしきりに「仕事中は常に笑っている」と繰り返していた。意識をして笑っているのではなく、自然と笑みがこぼれる現場にいることがわかる。
利用者さんから学ぶことも多く、心に残る言葉をかけてもらい「自分の糧にしている」と話してくれた。
「会うたびに、ほめてくださる利用者さんがいて『人をうらやんじゃだめよ、自分らしく生きればいい』と言われたことがあり、息子のことも『たくさんほめて、受け止めてあげてね』と子育てのヒントをいただくこともあります。私もまわりの人にそんな優しい言葉をかけられる人になりたいですね」
ふだん生活している中で、人のよいところを見つけて素直に口に出してほめることはなかなか難しい。角田さんは利用者さんを通じ感じることを大切にして、傾聴することで今の自分に必要な言葉を得られていると実感している。
介護職は一方的に高齢者を助ける仕事、と見られがちである。それは一面であり、互いに寄り添い、与えあう関係を築ければ、無限に成長することができるそうだ。
最後に小林さん、角田さんとの会話から「3K」が一度も出てこなかったことに気がついた。確かにきつい、危険、汚いと思う場面はあるかもしれない。が、それ以上に得るものがあるとおふたりはにこやかに話してくれた。
リハビリ館のまわりは、飯能の四季折々の自然に囲まれ、気持ちのよい空気が流れる。
写真:赤井恒平
飯能リハビリ館は「平成27年度職員定着率優秀事業所」として埼玉県より表彰されました。また「令和3年度埼玉県多様な働き方実践企業」として、子育てによる休みも取りやすい職場環境です。
関連情報
- 事業所名
- 介護老人保健施設 飯能リハビリ館
- 所在地(就業場所)
- 飯能市下畑296
- 募集職種
- ケアワーカー(若干名)
- 雇用形態
- 正社員
- 年齢/学歴
- 18〜64歳/不問
- 賃金
- 資格・経験等により考慮します。
各種手当あり
- 昇給/賞与
- あり/あり
- 就業時間
- ①7:00〜15:30
②8:30〜17:00
③11:00〜19:30
④夜勤 16:30〜9:30(休憩120分)
①〜④のシフト制
- 選考方法
- 面接(1回予定)
- 応募書類等
- ハローワーク紹介状、履歴書(写真貼付)
履歴書は面接時に持参
- 採用担当
- TEL. 042-974-6000
FAX. 042-974-8881
Eメール. info@rihabili-kan.com
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記事を書いた人:
飯塚 まりな
イラストレーター兼ライター(主に人物取材を好む)。最近は愛車で過ごす車中ランチが生活の一部。夢は発展途上国で医療や教育に関わる日本人の取材。
2021年に働く30代男女の仕事や生活についてインタビューした『〜西武沿線上で探した〜近所の30代「今」何してる?』を全国の天狼院書店発売(2022年1月まで)。
- 『ちいき新聞』レポーター(2020年〜)
- 『ショッパー』レポーター(2019年〜)
- 介護福祉士
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