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はたらく
2020年10月にオープンした「Aliveサステナブルラボ飯能」は1時間単位での利用や、泊まり込みの研修としても使えるワーケーション施設です。ここがただの宿泊施設ではなく、地域の活性化に一役買っているとのウワサを聞きつけたのでさっそく行ってみました。
飯能駅から車で40分ほど。Aliveは、山々に囲まれた名栗地区にあります。訪れたのは2月だったので冬景色でしたが、目の前には川が流れ、山々に囲まれたロケーションは暖かくなったら最高でしょう。
建物の中に入ると1Fにはキッチンダイニング。スクリーンとモニターがあるので、ミーティングやセミナー会場としても使うのだそう。丸太を丸ごと使った梁がインパクト大! とてもていねいに造られた建物だということがわかります。状態もよく大幅なリノベーションもしていないのだとか。
2Fは個室の宿泊スペースとなっていて、机もあるので集中作業やウェブミーティングなどにぴったり。襖で仕切られている和風テイストな部屋が「田舎に来たな」という気分を盛り上げてくれます。
建物は生活道に面していないので、人通りはなくとても静か。ベランダから川を眺めていると、まるで自分だけが知っている山奥の秘密基地みたいでワクワクしてきます。
会社の「目的」を考えたときに見えてきたもの
山の別荘をたっぷり堪能させていただいた後は、運営している株式会社シンカの代表取締役の田中裕也さん、社員の山内綾子さん、分部理恵さんにお話を伺いました。なぜAliveを始められたのでしょう?
「株式会社シンカは、1995年に創業した人事コンサルティング会社で、私は4代目の社長なんです。当時は『儲ける』ことが目標になっていて、目的がなかった。何のために儲けるのかわからないまま、みんな終電まで働いていました。そうすると、社員が疲弊して辞めていってしまう。ある日、退職して数か月経った元社員が会いに来てくれたんです。その人が肌がツヤツヤで健康的になってて」
これでは何のために会社があるのかわからない、と考えた田中さんは「社会問題を解決することで持続可能な社会を創造し、私たち一人ひとりの幸福度向上を追求する」というビジョンを掲げ会社を大改造。顧客は「食品」「医療」「教育」など社会に不可欠な業界に限定。そうすることで社員は定時に帰れるようになり、会社の利益も確保できるようになったのです。
そして人事コンサルティングは「できること」としてやりつつ、社会のためになる新事業を模索するため「物質的な豊かさではなく、本当に豊かになるために必要なものは何か」を社員と毎週のように話し合いました。
そこで出てきたのが、未来に漠然とした不安があるこの時代に「将来も生きていける」という実感が必要なのではないかということでした。すぐ近くにある地域の資源を使いながら生きていけることの実証をしてみよう、まずは自分たちでやってみよう、と始まったのがAliveなのです。
都会の人が忘れてしまっている大切なものがある
田中さん、山内さん、分部さんの3人は木、金、土の3日間、毎週のようにAliveに来ています。来飯者ではあるものの、バーベキューや観光に来る人たちとは違い、地元の人たちとコミュニケーションをとり、まるで暮らすように飯能を楽しんでいるのです。例えば、Aliveの玄関にある靴箱は地元の「きまま工房・木楽里」さんに行って、地元の木材を使い社員たちでつくったのだそう。
「他にも野菜をつくる苦労や火のおこし方、草花の名前や猿の追い払い方まで、地元の人から本当にいろんなことを教えていただいています」
と、田中さん。地域の方にいろいろなことを教えてもらったり、助けもらっている恩返しをしたい、東京のお金をもっと地域に循環させたい、という想いから地元の人を応援する仕組み「Hello, againコイン」というデジタル地域通貨も始めたりしています。
最後に飯能のいいところを聞いてみました。
「自然はあるけど完全に田舎ではないところですね。東京に近いからか、感覚は都会の人と同じです。だからコミュニティにも入りやすい。都会と田舎の両方を持っている飯能をもっとたくさんの人に知ってもらいたいです」
シンカさんの取り組みは、地域も関わってくれる人も幸せになるようなものでした。こんな関係がこれからもっと増えていくといいですね! Hello, again.