まちづくり

ライター:清水 麻由

2024.12.21

「日本一チャレンジする町」横瀬町に学ぶ公民連携のまちづくり

「日本一チャレンジする町」
横瀬町に学ぶ公民連携のまちづくり

令和5年度に策定された「飯能まちなか未来ビジョン」により、飯能市では現在「市民・事業者・行政等が一体となったまちづくり」を推進しています。

昨年9月に訪れた本庄市での視察に続き、飯能市役所職員のみなさんが今回訪れたのは横瀬町。飯能市に隣接する横瀬町は、秩父地域に位置する人口約7,600人の町です。

秩父エリアの豊かな自然に囲まれ、町のシンボルでもある武甲山が悠然とそびえています。

飯能市や本庄市と異なり商店街のない横瀬町ですが、公民連携により多様な人たちが集まる中心地を生み出しています。いったい、どのようにまちの賑わいを創生したのでしょうか?

「日本一チャレンジする町」
そして「日本一チャレンジを応援する町」

副町長の井上雅国さんと、横瀬町役場・連携推進室長の田端将伸さんよりお話を伺いました。

「まちの未来のためにチャレンジしていかなくてはならないんです」と田端さんは言います。

町の人口減少に加えて、コロナ禍など想定外の事態が起こりうる先の見えない時代。長期計画だけでは、まちづくりはうまくいかないのではないか、と考えたそうです。

「長期計画は持ちつつ、その中でどう動くかが大切。そのときそのときのチャレンジが必要なんです」

そうして生まれたのが「官民連携プラットフォーム よこらぼ」です。よこらぼの「らぼ」は「横瀬町とのコラボ」そして「ラボラトリー(研究所)」の意味が込められています。

誰でも挑戦したいアイデアの提案ができ、審査を受け採択になれば新しいサービスの実証実験ができるという仕組み。

これまでに教育や子育て関連、シェアリングエコノミー、アプリ開発といった様々なアイデアが実現しました。

にぎわいの拠点づくり

お話を伺った会場でもある「Area 898」は、横瀬町のチャレンジの一つです。JAの跡地を地域の方々と協力して改修したという、Area 898。

開かれたコミュニティスペースとして打ち合わせやイベント、人々の交流の場に利用され「よこらぼ」事業の拠点にもなっています。

隣には民間事業者が開業したコワーキングスペースや共有キッチンのある施設があり、現在は横瀬町が立ち上げた第三セクターの株式会社ENgaWAが引き継いで運営しています。

2階には子どもたちの遊び場として「Area 899」があります。

雨でも遊べるのはもちろん、親が1階のArea 898で活動している間の子どもの居場所としても利用可能。

その隣には五感拡張型クリエイティブ制作室「TATE Lab.(たてラボ」が。

横瀬町出身の家具職人が、埼玉県産の木を使った家具の製作や販売をしたり、ワークショップ型クリエイティブセラピーが体験できたりと、横瀬町のものづくりの拠点となっています。

Area 898、899がある建物の裏手には、不登校の子どもたちの活動拠点「NAZELAB(なぜラボ)」があります。

さらに、NAZELABから歩いてすぐのところにあるのは、チャレンジキッチン「ENgaWA」です。

「農」と「食」をテーマに、旧給食センターの跡地をチャレンジキッチンとしてリノベーションし、地域の農産物を使った商品開発や販売をしています。

ENgaWAができたことにより、歩道整備までしてしまったとか。

徒歩1分圏内に活気を生み出す拠点が集まっている横瀬町。町の外から入ってくる資源との化学反応で、活性化を目指したと言います。

「チャレンジする人はかっこいい。外からのチャレンジに横瀬町の住民を巻き込んでいくと、今度は住民側からチャレンジャーが生まれるんです」

「チャレンジ」とは「ビジョン」を持って「アクション」を起こすこと。

「飯能まちなか未来ビジョン」における基本方針である「暮らしの選択肢を市民・事業者・行政等で生み出す」「想像とアクションを楽しみビジョンを育む」に通じる事例をたくさんお話いただきました。

小さな自治体だからこその動きやすさや、活用できる土地や場所が多いことも強みとしている横瀬町。

一見不利に見えることも伸びしろに。まちと人とが、ともに新たな挑戦をし続けている横瀬町から「だからこそのチャレンジ」を学ぶ視察となりました。

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記事を書いた人:
清水 麻由

飯能周辺のイベントに出没しては、消しゴムはんこなどを彫る人。造形屋。自由人の夫&息子とゆるくて愉快な飯能ライフを送っています(飯能市内で広いおうち探してます)。

  • アート・クラフト屋イワオカフェ
  • くらしの修繕センター・イワオヤ
  • ウッドターニング(木工旋盤)修行中

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