2022年に開催し、好評だった…
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まちづくり
2024年9月から始まった「飯能リノベLAB2024」。10月26日(土)に開催された第4回目では、プログラムの集大成として、チーム・個人合わせて9つのプランの発表がありました。
どのようなプランが生まれたのでしょうか? 会場の熱気とともに、レポートをお届けします!
自分たちの好きなまちを面白く
飯能リノベLABは「自分たちの好きなまちは、自分たちで面白くしていく」という思いを持ったプレイヤーが集まって、空き物件を改修して、魅力的な拠点を増やしていくプロジェクトです。
ただのハコモノづくりではなく、ワークショップやDIYも活用してコミュニティを形成、みんなの「居場所」をつくっていきます。
今回は実際の物件2つをテーマに「こんなことをやってみたい」「こんな空間にしたい」という具体的なプランを生み出します。
ファシリテーターの野田さんは、都内と飯能の二拠点活動を実践する当事者。「二拠点活動する仲間を増やしたい!」という想いで本企画の立ち上げに関わっています。
「飯能には新たな風が吹いている」と語る野田さん。実際、飯能市は埼玉県のリノベーションコンペで2年連続最優秀賞を受賞するなど「リノベーションの聖地」としての顔も持っています。
第1回目は自己紹介&飯能の空き物件やまちなかをフィールドワーク。2回目、3回目のグループワークでは各チームに分かれ、リノベ物件を活用した「飯能でやってみたいこと」のアイデアをまとめていきました。
そして、第4回目はゲストをお招きして、アイデアの発表です。
ゲスト審査員は、向かって左から吉野信明さん(飯能信用金庫・地域支援部)、浅見国昭さん(飯能商工会議所)、町田則之さん(飯能市・都市計画課)、飯石藍さん(公共R不動産)の4名。
野田さんのアイデアで、参加者には「応援しますっ!」「一緒にやろう!協力します!」と書かれた紙が配られました。より一体感が増しますね。
ご家族や空き物件オーナー、マルトクカフェ(飯能銀座商店街)の小室さん、飯能市役所からも複数名が足を運んでくれています。和やかな雰囲気のなか、いよいよ発表スタート!
チーム:ぜろひゃく
「0歳から100歳までの居場所」
まずは、子育て中のメンバーによるチームの発表です。「0歳から100歳までの居場所づくり」をテーマに、子どもを中心とした多世代交流の場を提案。
駅周辺で親子が過ごせる場所が少ない、という課題から「落書き」をキーワードにしたイベントや空間づくりを提案しました。
具体的には、商店街での落書きイベントの開催、「はんのーとマルシェ」とのコラボなどを計画。特急Laviewや西武バスなどの大きな窓を活用した落書きスペースや、商店街の道路を歩行者天国にした落書きイベントを提案。
「子どもがきっかけとなって、様々な世代の交流が生まれる」という実体験をベースにした提案に、ゲストからは「子育て中のみなさんだからこそ、その困りごとが反映されている」「今の課題がちゃんと入っている」との声がありました。
チーム:Outdoor City 飯能
「まちなかキャンプで新しい体験を」
続いて、メンバー4人ともアウトドアに並々ならぬ情熱を持つチームです。「寛容なまち」をキーワードに、まちなかでキャンプ体験ができる拠点づくりを提案しました。
東町のカラオケ館の屋上や、飯能信用金庫の駐車場などを活用した「街キャン」というアイデアを発表。
手ぶらキャンプ、焚き火体験、キャンプ教室、屋上サウナなど、初心者からベテランまで楽しめるプランです。
ゲストからは「地域性を活かした面白い提案」「あそこの店舗の屋上も使えそう」と具体的な実現可能性をふまえた声が。
特に、上級者もライト層も楽しめる間口の広さに、見ている人たちも関わってみたいと感じていたようです。
チーム:うぐいす
「リユース&演劇でまちを楽しむ」
ソーシャルイノベーションとサードプレイスの融合を目指すチーム。
「リユースとエンタメ」をテーマに、空き物件を活用したリユーススポットと、商店街を舞台にしたイマーシブシアター(観客参加型の演劇)という2つの提案を行いました。
3か月後のオープンを目指す具体的な実施プランも提示。
ゲストからは「個人のやりたいことが乗っているのがよい」「物々交換が面白い」「ソーシャルビジネスとして関心があるので、深く議論したい」など、実現を後押しする声が続々。
チーム:ゆうじゅうふだん
「まちやどから広がるコミュニティ」
「まちやど」計画を提案したチームです。ゲストハウスの運営を起点に「面白い店主に会いに行くツアー」など、月1回の定期イベント開催を目指すプラン。
Bookmark(飯能銀座商店街)のイベントスペースの活用も視野に入れた、実現性の高い提案となりました。
ゲストからは「飯能にまちやど・ゲストハウスがあると良いね」「移住したい人も多いので需要がある」「面白い店主に会うツアーはすごくいい。クセのある店主も多いので」など、すぐにでもやってほしい!と、期待が寄せられました。
5人による個人発表も!
チーム発表に続いて、立候補者5名による個人発表も行われました。
今井さんは「防災道の駅」構想。伊那市の事例を参考に、災害時の物資輸送拠点としても機能する施設を提案しました。
古賀さんは、謎解きを活用したまち歩き企画。500万人という謎解きユーザーの市場規模や、埼玉県のプランが評価されました。
自転車店の元店主という経歴を持つ清水さんは、自転車の聖地化計画の2本立て。サイクリング人口の多さを活かした実現性の高いプランを提案しました。
高橋さんは、飯能DIYリノベ講座を提案。オーナーと入居者の相互理解を深めるDIY講座型の空き家活用プランです。多くのゲストから「すごくニーズがありそう、面白い」との声が。
編集者の経験を持つ加茂さんは、アウトドアショップ「借りパク」の構想を発表。キャンプギアのレンタル・販売の新しいビジネスモデルを提案し「キャンプ業界にいたからこその、解像度の高い提案」と高評価でした。
最後はゲストによる総評です。発表の熱量に合わせるかのように、熱いコメントが寄せられました。
「チームのプレゼンも個人の発表も、それぞれの想いが乗った企画ばかりなのが素晴らしい。実現への原動力になります。まちの課題ありきではなく、自分の声に耳を傾け、夢を語り続けてほしい。これからもみなさんの活動が、お互いによい刺激になるとよいですね」と飯石さん。
町田さんは「短時間でここまで精度の高い提案ができているのに驚きました。今回皆さんから出された提案は、飯能市が掲げる『飯能まちなか未来ビジョン』とも方向性が合っており、これからの飯能の発展につながっていくのではないでしょうか」と期待を寄せます。
「生まれも育ちも飯能の私からすると、自分で見る飯能とみなさんから見える飯能が違って、新たな視点をいただきました。特に商店街での提案は、私も以前から検討していた課題とリンクするものも多く、ぜひ実現に向けて一緒に進めていけたら」と浅見さん。
吉野さんは「地域支援部として官民連携を推進する立場から見ても、これだけのキープレイヤーが飯能に集まっているのは心強い限り。みなさんと一緒に何かできることを探していきたい」と笑顔で語ります。
そして「今日がスタートライン」と野田さん。行政や金融機関との連携も視野に、これからが実現に向けた本番です。
実はこの記事を書いているライターの私も「チームぜろひゃく」のメンバーの一人として参加していました。
人前でプレゼンすることも、グループワークを経てプロジェクトを進めていくことも、会社員時代(何年前…!?)ぶりのこと。
ものすごく緊張しましたが、1回目で参加メンバーのみなさんの多才さに触れ、すぐに「新しい世界が広がりそう」と、不安が期待に変わりました。
飯能で暮らし始めて2年。このプログラムを通して知り合いが増えたこともとてもうれしいです。「暮らしているまちを楽しみたい!」と飛び込んで大正解。
プランの実現に興味がある方、参加してみたい方は、ぜひ『はんのーと』編集部までご連絡ください! 今後のはんのーとからの発信にもご注目ください。
写真:赤井恒平
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記事を書いた人:
かたおか 由衣
リゾート運営会社勤務と専業主婦を経て、2020年からライター。2男1女の子育て中。
教育や子育て、エンタメ、キャリアなどの分野で執筆中。2023年春から飯能在住。転勤族。
- ライター・編集者
- 子どもたち学校に行ったり行かなかったり
- 親子ともに飯能暮らしを楽しみたい!
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