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ライター:赤井 恒平

2026.01.08

2026年新成人の暮らしをそっと支える「香り」の贈りもの

2026年新成人の暮らしを
そっと支える「香り」の贈りもの

飯能市では毎年、その年に新成人を迎える人たちに地元を感じられる記念品を贈呈しています。複数の事業者が提案した商品を飯能市が選定し、その年の記念品が決まるそうです。

過去には、飯能が主産地の西川材を使ったスマホスタンドなど、新生活が始まってからも飯能を思い出せるようなアイテムが選ばれています。

今年度選ばれたのは、ヒノキの香りを詰め込んだフレグランスミスト。ひと吹きすれば、森のイメージが広がる香りのプロダクトです。

提案したのは、2025年に立ち上げたばかりのブランド「Fragrance Base.」の藤本伸明さんと、江戸時代から林業を営む「井上林業・木楽里」の井上峻太郎さん。

お二人にお話を伺いながら、ヒノキのフレグランスミストがどうやって生まれたのか、ひも解いていこうと思います。

「資源」がつないだ偶然の出会い

藤本さんは会社勤めをしているデザイナーです。数年前、30歳を迎えるにあたり、今よりももっと事業に寄り添ったクリエイティブな支援がしたいと今後のキャリアを描きます。

そのためには、事業運営や商品開発をする側のことをより知っておくべきと考え、自身でもモノをつくることを始めようとフレグランスブランド「Fragrance Base.」を立ち上げたのです。

Fragrance Base. 藤本さん

藤本さんはブランドのテーマを「郷土資源」とし、地域に埋もれてしまっている資源を再発見して利活用しようと考えました。

そして飯能の「郷土資源」を探して西川材関係のイベントに参加し、そこで出会ったのが井上峻太郎さんだったのです。

井上さんは、従来の林業の枠にとらわれない活動を積極的に行っています。

井上林業・木楽里(有限会社創林) 井上さん

森の中でのイベント開催や、異分野のクリエイターとの商品開発など、この地域や西川材に関心を持ってくれる人たちとのコラボレーションを通じて、森と人との新しい接点を生み出しています。

二人は同い年ということもあり、意気投合。

井上さんは、木を伐採した際に通常は利用されることが少ない枝葉の部分を藤本さんに提供。

藤本さんは、それらを原料に蒸留した香りに商品のストーリーを持たせ、都内をはじめ様々な場所で販売することで、飯能に眠る資源の新しい可能性を切り拓こうとしています。

新進気鋭のデザイナーと、地元で100年以上資源を守り育ててきた林業家。この二人が出会ったことで、飯能の資源を凝縮した商品が生まれたのです。

フレグランスミストができるまで

今回のフレグランスミストの香りのもととなる精油やボトルのキャップは、いずれも井上林業が代々、手塩にかけて育ててきたヒノキからできています。

工程①

ヒノキの枝葉は、伐採したての新鮮なヒノキから採取しています。新鮮な枝葉を使うことでフレッシュな香りを抽出できるのです。

キャップの材料となるヒノキ材は数年前に伐採して製材し、天然乾燥させておいたもの。

工程②

集めた枝葉を粉砕し、蒸留機で蒸します。寸胴に大量の枝葉を入れ、熱を加えて蒸留します。こうして香りのもととなるヒノキリーフの精油ができるのです。

ヒノキリーフの精油をベースに調合を行い、飯能の森の香りを閉じ込めたフレグランスの完成です。

工程③

ボトルのキャップは、指先になじむ温かい質感を出すために最後は手作業で仕上げていきます。

ふるさとの香りが、新成人の「新たな挑戦」を優しく後押しします。部屋にはもちろん、枕やハンカチにひと吹きすれば、飯能の風景が思い浮かぶはずです。

50年、100年単位で移ろいゆく飯能の山のこと。そこから生まれる水のこと。私たちを取り巻く資源についても想いをめぐらせ、すこし未来のことを考えるきっかけになるかもしれません。

関連情報

名称
Fragrance Base.
HP
https://fragrance-base.com/
Instagram
@fragrancebase_
名称
井上林業・木楽里(有限会社創林)
所在地
飯能市井上123-1
HP
https://k-kirari.co.jp/
Instagram
@kirari123_1

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記事を書いた人:
赤井 恒平

飯能生まれ。AKAI FactoryやBookmarkを手がけた、飯能リノベーションの第一人者。地域や人をつなぐ「橋をかける仕事」をしています。

  • 飯能市キーマン
  • AKAI Factory 代表
  • 埼玉県「まちなかリノベ賞」最優秀賞(R2年度)

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