たべる

ライター:飯塚 まりな

2025.10.30

サツマイモは、子どものような存在「芋はん」

サツマイモは、
子どものような存在「芋はん」

秋といえば、サツマイモ。飯能の双柳にサツマイモ専門店があるのをご存知ですか?

車を走らせると、国道299号沿いに「芋はん」の看板が見えてきます。

今回は、MASUZU株式会社の代表、鈴木志生梨さんに芋はんの始まりや、お店の特徴についてお話を伺いました。

直売所には、9種類のサツマイモがズラリと並び、芋けんぴや、芋チップス、サツマイモに合うコーヒーまで。

芋はんのサツマイモは全て無農薬。味見をしながら、ゆっくり選んで購入することができます。

さらに同じ敷地内で焼き芋の販売も。小腹がすいたときに買いに来る人が多く、地域のみなさんのおやつになっています。

家庭を守りながら農業を始める

志生梨さんが飯能へ来たのは、11年前。ご主人のご実家が農家で、いずれは畑を継ぐため、結婚と同時に埼玉県農業大学校へ1年間通います。

てっきり「夫と一緒に農家をやるのが夢だった!」というお話かと思っていたら、予想外の言葉が。

「正直、そんなに農業に熱い想いはなかったです(笑)。夫はサラリーマンですし、私は家庭菜園さえやったことがなくて。でも、長男の嫁として勉強しようと思いました」

志生梨さんは千葉県出身。独身時代は医療関係の営業で働いていて、農業は全く未知の世界でした。

農業大学校の同級生たちは、60代のおじさんたちばかり。その中に20代の志生梨さんが入学し、目立つ存在でした。

卒業後、妊娠がわかり、大きくなるお腹を抱えながら自宅前で種まきだけ行うなど、教わったことをすぐに実践。

「これから子育てが始まれば、体調が悪いときに思うように動けない日もある」そう考えて、扱いやすい根菜類に絞ることに。

その中から昔から志生梨さん自身も好きなサツマイモを選びました。

「農法は無農薬にしました。地域の子どもたちがお芋掘りに来たとき、土に触れる手や口にするお芋も、安心できるものだったらいいなと思ったんです」

当初は3種類のサツマイモを育てていましたが、年々数が増えていきます。

「甘い・ホクホク・しっとりなど好みは人それぞれで、お客さんのニーズに合わせています。紫だけでなく白いサツマイモも販売して、新しい品種にも挑戦してます」

これからも協力し合って、サツマイモづくりを

少しずつ観光農園としても取り組み、今後も食育や農業体験のよさを広げていきたいとのこと。

サツマイモづくりを始めた頃と比べて、現在はビニースハウス3棟、栽培面積は、1.6町に。

年々収穫量が増え、フォークリフトやトラクターを購入。畑の作業だけでなく、加工場でお菓子をつくり、過去にはパートさんたちと一緒にハウスを建てたこともありました。

直売所を始めたことで、天候に左右されず室内で仕事ができるようになったことも大きな変化でした。

「正直、サツマイモは子育てよりも手がかかります。日の出とともにハウスを開けに行って、気温を気にして病気でないか確認。やることがたくさんあります」

大切にしているのは、自分を追い込まないで気持ちを穏やかに、細く長く続けていくこと。

経営者と子育ての両立は簡単ではないけれど、サツマイモと同じように暮らしにも着実に根を張る志生梨さんの芋はん。

「この先も地域の人たちに愛されるサツマイモをつくりたい」と志生梨さんの前向きな気持ちが伝わってきました。

ぜひ味わってみてくださいね!

関連情報

店名
芋はん
所在地
飯能市双柳1307
営業日
火曜・水曜・土曜
営業時間
11:00〜16:00
駐車場
あり
Instagram
@imohan_hanno

アクセス

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記事を書いた人:
飯塚 まりな

イラストレーター兼ライター(主に人物取材を好む)。最近は愛車で過ごす車中ランチが生活の一部。夢は発展途上国で医療や教育に関わる日本人の取材。

2021年に働く30代男女の仕事や生活についてインタビューした『〜西武沿線上で探した〜近所の30代「今」何してる?』を全国の天狼院書店発売(2022年1月まで)。

  • 『ちいき新聞』レポーター(2020年〜)
  • 『ショッパー』レポーター(2019年〜)
  • 介護福祉士

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