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ライター:清水 麻由

2022.03.03

ひな人形がまちと人との架け橋に「飯能ひな飾り展」

ひな人形がまちと人との架け橋に
「飯能ひな飾り展」

春の訪れを肌で感じ始めるこの時期。飯能のまちなかを歩いていると、パンフレットやカメラを片手に、店先や店内を楽しそうに覗く人々とすれ違います。そんなみなさんのお目当ては「ひな飾り」。

飯能市の文化財である店蔵「絹甚(きぬじん)」をメイン会場に、商店街を中心とした市内の各店舗や施設でひな飾りを見ることができる「飯能ひな飾り展」は今年で第16回目となります。

この展示をスタートさせたのは、丸屋酒店の井上七恵(ななえ)さん。七恵さんに当時のお話を伺いました。きっかけとなったのは「かみしも雛」というお人形。かつて埼玉県の岩槻で多くつくられていたこの人形は、主に親戚からの初節句のお祝いに贈られたものだとか。

かわいらしい顔立ちと素朴な趣のあるこの人形が丸屋酒店にたくさんしまってあったことから、七恵さんは「これで何か面白いことができるのでは?」とずっと考えていたそうです。

それからしばらく経った平成18年(2006年)、まだ活用法が決まっていなかった「絹甚」にひな人形を飾ったらいいのではないかと思い立った七恵さんは、周辺のお店一軒一軒を訪ねて「眠っているひな人形をみんなで飾ろう」と呼びかけます。

45軒の賛同を得たことで、七恵さんが当時関わっていた森と街を結ぶ「木馬をつくる会」主催で開催することになった飯能初のひな飾り展。

はじめはそれほど乗り気でなかったところもあったそうですが、蓋を開けてみると訪れたお客さんからはたくさんのよい反応が。

「何か人の心をとらえるものが、おひな様にはあるんですよね」と七恵さん。飾る側のモチベーションも高まり、それが今に続くエネルギーとなっていきます。

初めてひな飾り展を開催した年のお手製のポスターも見せていただきました。「大変だったけど楽しくてワクワクしていたの」と七恵さんは懐かしそうに笑います。

まわりの人々の関わりによってみるみる花開いていったこの新たな取り組みは、これまで少しずつ形を変えながら市内各所に広がり、季節の訪れを感じる飯能の名物イベントのひとつとなったのです。

時代を感じる年代ものから近隣の作家さん手づくりの新しいひな飾りまで、飯能を散策する市内外の人々の目を楽しませてくれる飯能ひな飾り展。

市街地だけでなく名栗や吾野などの地区でも同時期に飾ることで、飯能の奥行きを感じられる展示にもなっています。

本来なら蔵や倉庫で眠り続けていたかもしれないおひな様たち。そのそれぞれのストーリーに出会うことのできる飯能ひな飾り展は、今年も3月6日(日)まで開催中です。

ぜひお店や会場の人とひな飾りトークで盛り上がってください。きっとおひな様たちもうれしそうにしているはずです。お気に入りのひな飾りを見つけに、どうぞ春うららの飯能へ。

写真提供:(一社)奥むさし飯能観光協会

関連情報

イベント名
第16回「飯能ひな飾り展」
開催期間
2022年2月25日(金)〜3月6日(日)
HP
https://hanno-hinakazari.jimdofree.com/
主催
飯能ひな飾り展実行委員会
共催
飯能市商店街連盟

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記事を書いた人:
清水 麻由

飯能周辺のイベントに出没しては、消しゴムはんこなどを彫る人。造形屋。自由人の夫&息子とゆるくて愉快な飯能ライフを送っています(飯能市内で広いおうち探してます)。

  • アート・クラフト屋イワオカフェ
  • くらしの修繕センター・イワオヤ
  • ウッドターニング(木工旋盤)修行中

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