薄曇りのやわらかい光がふりそそ…
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たべる
「そういえば、立春の日限定で販売されるお酒があるよ」
はんのーと編集部から、飯能の酒蔵「五十嵐酒造」より「立春朝搾り」というお酒が販売されるとの情報を聞き、さっそく飯能市川寺のお店へ伺いました。
予約をお願いすると「うちでは販売しないのよ」とのこと。教えていただいたのは、こちらの記事でもご紹介しているまちの酒屋、丸屋酒店さん。すべりこみセーフで予約に間に合いました。
「立春朝搾り」とは?
毎年「立春」の日の早朝に搾りあげる縁起酒「立春朝搾り」は、日本名門酒会が主催するイベントです。全国の協力蔵元のうち、2022年の参加蔵元は43蔵。地元の日本名門酒会加盟酒販店のみでの販売となります。
立春は旧暦のお正月にあたるおめでたい日。春を祝うお酒をその日のうちに購入者へ届けるため、蔵元では節分の夜から作業が続き、絞り上がったばかりのお酒を瓶に詰めていきます。
出荷の準備は、蔵元だけでなく地元の酒販店も協力して進めるこのイベント。蔵元へ足を運び、出荷の作業を引き受けます。ラベル貼りや箱入れなど、店頭に並ぶまでの作業は山ほどあるにちがいありません。
作業の合間には、近隣の神社から神主さんを招いてお祓いがおこなわれるとのこと。無病息災、家内安全、商売繁盛の祈願を受けた「立春朝搾り」は、蔵元、酒販店のみなさんの力で私たちの手元に届きます。
おいしさの秘密
搾り上がりが立春の日、と決まっているのが「立春朝搾り」の大きな特徴。一般的な酒造りのように、仕込み具合を見極めて搾り上げることができません。立春当日においしく仕上がるよう、細やかな調整が必要になるのです。
その日の朝にできたばかりのこのお酒は、いっさいの火入れをしない生酒。さらに、原酒のためアルコール分は17%と高めです。みずみずしくフレッシュな味と香りに、しっかりとした飲み心地は、本来は酒蔵でしか味わえない貴重なものです。
地域の蔵元と酒販店のつながりを感じるお酒
心待ちにして迎えた、2月4日立春当日。丸屋酒店さんへ伺うと、店内はお酒を受け取る地元の方々であふれかえっています。予約分の「立春朝搾り」がずらりと並ぶ様子は、このお酒を心待ちにしている方がいかに多いかを物語っていました。
初めて手にした「立春朝搾り」。ラベルに描かれた紅葉は、天覧山のふもと、能仁寺の紅葉を表しているのでしょうか。うすく濁りの入ったこのお酒が、前日まで樽に入っていたこと、蔵元や酒販店の方々の手により、寝ずの作業を経て目の前にあることを考えると、とても感慨深いものがあります。
蔵元から地域に愛される酒販店、そしてそのお酒を愛する地元の方々。五十嵐酒造の「立春朝搾り」は、地域の人々のつながりと春を感じるお酒でした。
関連情報
- 酒蔵
- 五十嵐酒造株式会社
- 所在地
- 飯能市川寺667-1
- TEL
- 042-973-7703
「立春朝搾り」の販売は酒販店のみ - 042-973-7703
「立春朝搾り」の販売は酒販店のみ
- @igarashisyuzou
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記事を書いた人:
つるまゆ
長野県上田育ち→東京経由→埼玉県飯能暮らし/自然に囲まれた生活を愛して、2021年に移住/山と緑、自然食と手仕事、コーヒーを楽しむ生活
- 職業は経理&ライター
- 登山大好き
- 和服大好き
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