「センパイ移住者のーと」第11…
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飯能駅から車で約15分。山が間近に迫り、畑や雑木林など絵に描いたような田舎の風景が広がるエリアに、ちょこんと現れたかわいらしい三角屋根。
ここが、2023年に練馬区から移住してきた堀内さんご一家のお住まいです。
移住のきっかけは、コロナ禍でリモートワークが進み、必ずしも東京に住み続けなくてもよくなったことと、当時3歳と1歳だった子どもたちがのびのびと育ってほしいと思ったこと。
移住先の候補は、以前からたびたびキャンプで訪れていた飯能がまず頭に浮かんだそう。ネットで検索し、飯能移住のYouTubeを見つけ、次の週には土地を探しに飯能市役所へ向かっていました。
理想の住宅を手に入れるまで
土地はお二人で「となりの茶畑が気に入ってます」と口を揃える、抜け感のある場所に。
無事、土地が見つかったら次は家づくりです。
どんな家がいいかな、とイメージをふくらませるために買った本に心を奪われ、著者の設計士さんに直接連絡をして設計を依頼したのだそうです。
「仕事でもつくったことないような分厚い企画書をつくったんですよ」と妻の愛弓さんが話してくれました。
「育てていく家にしたかったんです。家族みんなでつくることで愛着も生まれますし。壁の漆喰も自分たちで塗りました」
自分たちの手で家ができていくこと、くり返すことで同じ作業が上達していくのもうれしかったのだそう。
そして、2022年の夏に家が完成。ところが、保育園の関係で1年間引っ越せなかったのです。その間は週末に飯能へ来て、庭をつくったり柵をつくったり、壁を塗ったり。
この場所での暮らしを想像しながら、家を育てていったのです。
仕事と生活のバランス
夫の明さんは、PR会社を営むかたわら、雑誌の編集などもしていて、週に3日ほど都内へ出ます。妻の愛弓さんは、広告代理店勤務で週に2日ほどの出社。お互いが交互に出勤します。
「電車の乗り換えなしで都内へ出られるのは大きいですね」と愛弓さん。同じ西武線沿線の練馬ご出身ということもあり、暮らしに不安はなさそうです。
週末は庭で過ごしたり、さわらびの湯(温泉)に行ったり、夏は近くの川で川遊びをしたりと、周囲の環境を目一杯楽しんでいます。
家の近くにホタルが出たり、ときにはキッチンから鹿やキジが見えたり、季節や自然をダイレクトに感じることができるのも特徴のようです。
未来を見据えた設計
堀内さんはインテリアのセンスも抜群。セレクトショップで見かけるおしゃれなプロダクトもあれば、海外の民芸品もあります。ジャンルの異なるものが心地よく共存しています。
「夫が取材で出張に行った先で気になったものや、家族で旅行した先の思い出の品をすこしずつ買い集めてるんですよ」と愛弓さんが笑いながら話してくれました。
都市と田舎、デザインプロダクトと民芸品、ポスターと子どもたちの絵。堀内さんは性質の異なるものを上手に組み合わせて暮らしているのですね。
最後にお家について聞いてみました。
「決して大きくはありませんが、将来夫婦二人で暮らすことを考えたらちょうどいいかなと。子どもたちは『ずっとここに住む!』と言ってますけど笑」
まだしばらくは、家族四人での暮らしが続きそうですね。
写真:ふさ
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