飯能市阿須のホッケー場にある「…
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特集・連載
「人口に対する飲み屋の数が、飯能はとっても多いんだよ」
飯能にいるとよくこんな話を耳にします。かつての花街の面影がまちのあちこちに残っていますし、散歩していると「なんで女の人の名前がいっぱいあるの?」と子どもに聞かれて答えに詰まる、というのも飯能あるあるではないでしょうか。
そんな飯能ならではのディープな夜の魅力をお伝えしようと、新しい連載を思いたちました。その名も森畑鶏の『推し酒場』
わたくし森畑鶏が、飲み仲間の力を借りてずっと気になっていたあの扉を開け、暖簾をくぐり、夜の推しをご紹介します。
ちょっと気になるあの外観
記念すべき最初の『推し酒場』は、飯能駅北口を出て飯能河原方面へ歩みを進めると現れる、コンクリート打ちっぱなしの外観と真っ赤なネオン。周囲とは一線を画す存在感を放つ、PADDOCK PASS(パドックパス)さんです。
入口でスーッと息を吸い込み、ちょっと勇気を出して赤く重厚なドアを押します。奥に見えるカウンターには、バーボンを片手に旅を語りあうピーター・フォンダとデニス・ホッパーの姿。
70年代アメリカを感じさせる渋く落ち着いた雰囲気と、ちょっと怖そうな店構えにドキドキしながらカウンターに座ります。
今回、推し酒場にお付き合いいただくのは、うどんの名店「こくや」の細川博之さんです。
店主の佐野奈美子さんとは、お子さんの保育所の父母会仲間だそう。「あの頃のみんなって、今の若い人にはない“どうしようもなさ”があったよね」と笑いながら懐かしむ、奈美子さんにお店のことを伺いました。
ここに在り続ける
PADDOCK PASSは今から36年前の1987年、亡くなったご主人によりフランス料理とBarを組み合わせたお店として始まりました。
世はバブル真っただ中。昼は夫が働いている間に奥様たちがフランス料理を嗜み、夜は夫が「今日はみんな俺が持つよ」とお店ごと奢っちゃうという謎の時代だったそうです。
当時、朝まで盛り上がっていたヤンチャな若者から地域経済を支える紳士淑女まで、さまざまな人の成長や時代の変化とともに歩んできました。
PADDOCK PASSでの楽しみ方が変化
「意外といるんですね」と奈美子さんが驚くのは、東京オリンピックに合わせて始めたPADDOCK PASSに併設したゲストハウス。
当初はお客さんが来るかどうか半信半疑だったそうですが「田舎に行きたい」と、都内からカップルが飯能に泊まりで遊びに来る時代がやってきているそうです。
そんな話を伺っているカウンターの片隅には、スタッフと談笑している一人の男性の姿も。今回で3回目の宿泊のリピーターさんだそうで、帰り際に交わされる「おやすみー」のあいさつに、お店の魅力とあたたかさがあふれています。
「(お店をしていると)自分はいろんなところに行けないけど、ゲストハウスにはいろんな国から来てくれて、自分が旅行しているみたいでとにかく楽しいの」と奈美子さん。
ゲストハウスのほかにも、テラス席で手軽に楽しめるBBQが人気なんだとか。
飯能の方はもちろん、市外や海外から、若い人も紳士淑女も、新たな出会いも久々の再会も、PADDOCK PASSの赤く重厚なドアの奥には、歴史と変化が入り交じった心地よさが満ちています。
関連情報
- 店名
- PADDOCK PASS
- 所在地
- 飯能市稲荷町12-10
- TEL
- 042-972-0595
- 042-972-0595
- 営業時間
- 【月・水・木・日】DINNER 18:00~25:00
【金・土】DINNER 18:00~26:00
- 定休日
- 火曜日
- @paddock_1987
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