特集・連載

ライター:渡邉 優太

2025.01.14

LIFE story No.5 山葡萄細工作家「ORIORI」

LIFE story No.5
山葡萄細工作家「ORIORI」

作家活動を始める前に、北欧雑貨などを取り扱う会社に勤めていた今泉さん。

北欧をテーマにした施設メッツァが建設中だった頃、飯能へ仕事で来る機会があり、飯能市とも仕事をするきっかけに。

飯能市に何度か訪れるたび縁も感じるようになり、自分にはこの地域が合っているのではないかと思うようになります。

輸入した商材を扱う中で、日本にももっとよいものがたくさんあるはずなのに、という想いが強くなり、日本人としてのアイデンティティーと自分自身を見つめ直したときに、日本の伝統あるものに惹かれていきました。

たまたま知り合うきっかけがあった籠を編む作家さんが使っていた素材、山葡萄。それは、出身地である福島県の伝統工芸に使われる素材でもありました。

冬の農作業が難しい時期に、室内でできる仕事として、今も工芸品の産業が残っています。

そのような背景もあり、地元の名産でもある工芸を自らの手で残したいという想いが次第に芽生えてきました。

素材や製法について調べていくと、その歴史は縄文時代から人々の生活に役立てられていたことを知り「自らの手で残したいという気持ちが、確信へと変わった」と言います。

仕事をするかたわら編む製法を学び、伝統を次の世代につないでいくため、製作した作品を販売するネットショップを開設。

2019年に念願だった飯能へ住まい兼工房として拠点を移し、ネットで注文を受けながら、ギャラリーでの展示販売やイベント出店なども行っています。

ORIORIとは、四季の折々×織り

遥か昔、自然とともに生活していた先人たちに想いを馳せながら、四季折々の自然の恵みを享受して丁寧に籠や道具を編んでいる今泉さん。

“自然を守る”をテーマに、各森林管理署と相談しながら山に入っています。

山林での採取作業には危険も伴うため、山の生態系や野生動物の習性について学ぶ目的で、地域の方たちと一緒に罠猟を行うようにもなりました。

山主さんたちとも交流できたり、山の生態系を把握できたり、自分の感覚を研ぎ澄ますことにも役に立っているとも話します。

今は県外へ山葡萄を採りに行ってますが、いつか身近な山々で地産地消の活動ができる仕組みづくり。

山葡萄細工の製作をしながら、そんな未来を考えています。

写真:ふさ

関連情報

HP
https://oriori.co/
Instagram(工房)
@oriori.kago
Instagram(個人)
@hiroyukimaizumi

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記事を書いた人:
渡邉 優太

ユニバーサルデザインに関心を持ち、大学では工業デザイン、人間工学を学ぶ。卒業後〈ザ・コンランショップ〉に入社。植物やガーデンファーニチャーの担当に。その後、いくつかの仕事を経て独立。飯能市に『REFACTORY antiques』をOPEN。国内外で買い付けた古い家具を修理して販売し、個人宅のリフォーム、店舗の空間演出も手がける。

  • REFACTORY antiques 店主

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