飯能には様々なアーティストが活…
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特集・連載
ライター:かたおか 由衣
2025.02.27
飯能クリエイターファイル(No.28)M’s CRAFT Kai Ukulele・森孝之さん
飯能クリエイターファイル(No.28)
M's CRAFT Kai Ukulele・森孝之さん

ハワイの透き通った空と、青い海。音を聴いただけで、南国の風を感じる楽器「ウクレレ」。
プロの演奏家も使っている最上級のウクレレを、一つひとつオーダーメイドでつくっている工房が飯能にあります。
約20年前にウクレレをつくり始めた森孝之さん。工房にお邪魔してお話を伺いました。
工房に入ると、壁にはウクレレがずらり。一つひとつ使っている木材やデザイン、形に個性があります。
「『コア材』はハワイでしか採れない希少な木材で、音響特性が優れ、ウクレレのトップに使用されることが多いです。コア材は希少になりつつあって、価格も上がっています。また、ウクレレのトップには柔らかい木材を使用して、サイドとバックには硬い木材を使用するのがセオリー。コア材は比較的硬めですが、トップに使用してもよく振動するため重宝されています」
プロの演奏家にも評判のウクレレを手がける、森さん。ご家族で飯能へ移住して暮らし始めたのが、およそ30年前。その頃は会社員だったとか。
では、どのようにウクレレの世界へ入ったのでしょうか。
サラリーマン生活を経て、ウクレレの世界へ
森さんがウクレレをつくり始めたのは、24年間のサラリーマン生活を経てから。文化服装学院を卒業後、アパレル企業で営業や企画職に携わっていました。
趣味としてウクレレを習い始め、その魅力のとりこに。「ウクレレ職人になりたい」と一念発起し、ツテがない状態で会社を辞めたというから、行動力に驚かされます。
ほとんど英会話ができないまま、ハワイ・オアフ島にある、演奏家から絶大な人気を誇るブランド「G-string」の工房に直談判。約半年の修行を経て、飯能の工房でウクレレ製作を始めました。
森さんの手がけるウクレレは、オーダーメイド。サイズ、形、ネックの厚みなど、細部にわたりお客さんのリクエストを丁寧に聞いて、世界に一本のオリジナルウクレレを製作しています。
現在は、森さんの息子である森一央さんが主に製作を担当し、森さんはデザインのアドバイスをしています。
お二人とも特に得意なのは「インレイ」だそう。インレイとは、ウクレレの表面の装飾のこと。ボディやヘッドの部分に、貝殻などの素材をはめ込んでデザインをつくります。
ウクレレ本体に絵柄を掘り、絵柄の形に切り取った貝シートを埋め込みます。
森さんは、ハワイで開催されるウクレレの技術コンテスト「Ukulele Guild Of Hawaii」にて、優勝にあたる「Best In Show」とインレイ部門でも優勝にあたる「Best Inlay Show」を受賞。
また、一央さんも準優勝していて、親子とも確かな技術力で、日々ウクレレを生み出しています。
「お客さんが持ってきた『お孫さんと犬の写真』をウクレレに入れてほしい、とオーダーをいただいてつくっています。図面を起こしてお見せすると、すぐにOKで現在製作中です」
工房には、ウクレレ職人になる前は銀細工作家だった、一央さんによるアクセサリーも。ウクレレで余った木材を使って製作しています。
海外からのオーダーも
どんなお客さんがオーダーするのでしょうか。ここ飯能の工房に、タイや中国の方が空港から直接車でやってくることもあるとか。
「タイの方はウクレレのコレクターの方で、ウクレレを並べるための部屋があるようでした。『十二支にちなんだウクレレをつくりたい』とオーダーをいただき、デザインから作成。この蛇が巻きつくようなデザインが難しいんですよ」
ウクレレに蛇の模様がほどこされ、写真から美しさと迫力が伝わってきます。
また、森さんは工房でウクレレレッスンも主催しています。レッスンは、生徒さんのリクエストに応える形式で行っていたら、気づけば週6日になっていたと優しい表情でお話する森さん。
工房でのプライベートレッスンに加えて、市内の福祉センターや公民館などでグループレッスンをしています。飯能でレッスンを始めて、今年で20回目の発表会を控えているそう。
最後に今後やっていきたいことをお聞きしました。
「ウクレレって楽しい、素敵だなと思ってくれる人を一人でも増やせたらと思っているんです。発表会では、オリジナルウクレレをプレゼントする抽選会も企画しています。生徒さんは、小学生から70代以上の方まで幅広いですよ」
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記事を書いた人:
かたおか 由衣
リゾート運営会社勤務と専業主婦を経て、2020年からライター。2男1女の子育て中。
教育や子育て、エンタメ、キャリアなどの分野で執筆中。2023年春から飯能在住。転勤族。
- ライター・編集者
- 子どもたち学校に行ったり行かなかったり
- 親子ともに飯能暮らしを楽しみたい!
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