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ライター:飯塚 まりな

2025.02.15

飯能クリエイターファイル(No.25)mogut guitar 赤城工房・赤城昌孝さん

飯能クリエイターファイル(No.25)
mogut guitar 赤城工房・赤城昌孝さん

ナチュラルで温かみのある音色といえば、アコースティックギター。

今から18年前、飯能の久須美でギター工房を立ち上げた赤城昌孝さん。ご自宅の横に静かにたたずむ工房にお邪魔しました。

ふだんはアコースティックギター、ガットギターの製作、修理をしていますが、コロナ禍以降は楽器業界に変化が起きたこともあって、ここ数年はアメリカ製のギター修理の依頼が増えているそうです。

工房には、飯能近隣のアーティストや、福生の中古楽器店などから依頼された修理を待つギターがずらり。床にはあちこちにギターケースが置かれています。

どんな道具を使って修理するのか伺うと、整理整頓された引き出しの中から、手のひらサイズのミニかんなが出てきました。

なんと、赤城さんの手づくりなんだとか。職人の「ない道具はつくる」精神ですね。当たり前ですが器用でなければ、務まりません。修理の様子を一部見せていただきました。

「なるべく元の状態を保ちながら、修復することを心がけています。持ち主独自の音があるので、雰囲気を壊さないことが大切ですね」と赤城さん。

ギターは歴史を積み重ねたアンティークだ、とも赤城さんは語ります。

ものづくりを極めたい、ギター職人の道

赤城さんはどのようなきっかけでギター職人になったのでしょうか。

聞けば、中学から飯能市内の自由の森学園に通い、高校では寮生活をしていたとのこと。ギターとの出会いは、クラスの同級生たちから教わったのが始まりです。

高校卒業の進路は、偶然見つけた『週刊ジャンプ』の広告で、ギター製作の専門学校があることを知り、進学を決めました。

子どもの頃から好きだったものづくりに打ち込む絶好の機会。「何か一つ、自分でしっかり製作できるものを見つけたい」と熱心に取り組みます。

その後は、東京町田の茶位工房に7年ほど弟子入りし、28歳で独立。学生時代を過ごした飯能へ戻って家庭をもち、二人の息子の父親になりました。

最近は赤城さんに教わりながら、息子さん(長男)もギターをつくっているそう。そう話す赤城さんは、どこかうれしそうで、いい親子関係が想像できました。

近い将来、親子で本格的なギター製作をしているかもしれません。

「個人の工房は、お客さんとの距離が近いことが一番のよさだと思います。楽器に興味がある人は、ぜひ遊びに来てください」と寡黙な雰囲気からも、ふとした瞬間に優しい笑みがこぼれます。

これからも職人として、長く愛用されるギター製作に携わりたい。赤城さんの真摯な気持ち、丁寧な手仕事が、たくさんのアーティストを支えています。

関連情報

工房名
mogut guitar 赤城工房
所在地
飯能市久須美187-1

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記事を書いた人:
飯塚 まりな

イラストレーター兼ライター(主に人物取材を好む)。最近は愛車で過ごす車中ランチが生活の一部。夢は発展途上国で医療や教育に関わる日本人の取材。

2021年に働く30代男女の仕事や生活についてインタビューした『〜西武沿線上で探した〜近所の30代「今」何してる?』を全国の天狼院書店発売(2022年1月まで)。

  • 『ちいき新聞』レポーター(2020年〜)
  • 『ショッパー』レポーター(2019年〜)
  • 介護福祉士

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