静かな田舎に引っ越して、広々と…
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特集・連載
誰にでも開けた場所にしたかった
若手建築家特集第5弾は、オープンサイト建築設計事務所の双木洋介さんです。
取材にお伺いした双木さんの事務所があるのは、飯能銀座商店街の一角。もともと、ふとん屋さんだった空き店舗を改修したそう。
設計事務所というと、スタイリッシュなイメージがありましたが、布団屋さんの名残りを活かした親しみやすい雰囲気が魅力的で、商店街にしっかりと馴染んでいます。
「誰でも気軽に立ち寄れる、風通しのよい開けた場所を目指しています」と双木さん。
その想いは事務所のデザインにも現れています。床を一段浮かせた構成で、商店街に対して「縁側」のように腰をかけられる仕様に。
「腰かける」という行為を通じて、室内と通りの境界を緩やかにつないでいます。
仕事に没頭するための空間でありながら、周りとゆるくつながることもできる。この考えは、双木さんが設計した建築にも反映されています。
こちらの物件に住むご家族の構成は、おばあちゃん、50代のご夫婦、成人している娘さんの大人4人。
大きな個室が4つと、家の真ん中にリビング、ダイニング、キッチン(以下LDK)が配置されています。
「大人4人それぞれに個室がほしい、という要望がありました。ですが、ただ個室を並べるだけでは悲しいし、お互いの関係性が希薄になってしまうので、家の真ん中に吹き抜けのLDKを配置して、その周りに個室を並べ、各部屋によって異なるさまざまな開口部を提案しました」
この配置と開口部によって、それぞれのプライベートを確保しつつ、お互いを間接的に「つなぐ」ことができ、0か100でないほどよい距離感をもたらしています。
お客さんの要望をふまえたうえで、よりよい提案をしたいという双木さんの姿勢が伝わってきます。
お客さんの言葉にできていない要望を形にするプレゼン
よりよい提案をする、この姿勢はお客さんへのプレゼンにも色濃く反映されています。
「お客さんの要望をベースにした案はもちろん、私が面白いのではと思った案や全く違った角度の案をご提案するようにしています。意外とご要望をベースにした案以外を『面白いね』と言ってくださることも多いんです。結果的に、それぞれの案のいいとこどりをする形になりますね」
ヒアリングの際に、お客さんがうまく言葉にしきれなかった潜在的な要望までひろって、あらゆる角度からプランを練っているのだなと感じました。
実現が難しそうな案件ほど、やりがいを感じる
双木さんの設計事例を拝見していると、どれも今まであまり見たことのない斬新なデザインが印象的でした。
「斬新なデザインを目指しているわけではなく、お客さんの要望を突き詰めていくと、結果的に今までにあまりないデザインになることが多いです。実現するのが難しそうだったり、大変そうな案件ほどやりがいを感じますね」
飯能市東町にある焼き鳥屋「キコリヤ」も双木さんが設計された物件。
一見、洗練されたデザインでありながらも、一つのテーブルを囲んでいるかのように感じる、低く設定されたコの字型のカウンターが印象的です。
「住宅や店舗を建てたいけど、こんな要望叶えるのは難しいだろうな…」とお悩みの方は、ぜひ一度双木さんに相談してみてはいかがでしょうか。
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