特集・連載

書いた人:赤井 恒平

2021.09.25

若手建築家特集 vol.2 坂利春さん(S/A坂利春建築研究所)

若手建築家特集 vol.2 
坂利春さん(S/A坂利春建築研究所)

若手建築家の二人目は、設計室enの小野さんに紹介していただいた坂利春さん。日高市に蔵を改装した事務所を構えている、とのことだったのですが、連絡してみると川越にもアトリエをつくっているとのこと。そこで飯能から少し離れてしまいますが、今回はできたばかりの川越市霞ヶ関にあるアトリエへお邪魔しました。

坂さんのアトリエは閑静な住宅街の一角にありました。木製建具のオープンなアトリエは、建築雑誌で見るような素敵な空間。きっと設計される住宅もスタイリッシュなのでは?と期待がふくらみます。実績を見せていただくと、やはりポップですっきりとしたイメージ。ところがお話をうかがってみると「古い街並みや伝統建築が好きなんです」と、予想外の回答が。一体どういうことなんでしょう?

構造をデザインとして取り入れる

坂さんが建築を学んだのはスペースデザインカレッジという学校。昔ながらの建築や街並みが好きという理由で京都校を選んだのだそうです。最初はインテリアデザインを専攻していたのですが、空間設計の面白さ・自由度に魅了され建築設計に移ります。卒業後は大阪の工務店や京都の設計事務所を経て、伝統的な木造建築を扱う神奈川の工務店で学びました。

「たとえばできるだけ金物を使わなかったり、構造自体をデザインとして取り入れたりします」

と、坂さん。確かに、現代の家は柱や梁をクロスで隠すことが多いですが、日本家屋は構造体がむき出しでそれ自体がデザインになっています。そう言われてみると、先ほど見せていただいた家も縁側のような空間があったり日本家屋に近いものを感じました。伝統建築を知り、なおかつインテリアデザインの経験もある坂さんだからこその空間設計と言えるかもしれません。

また、坂さんは建物を建てる前にその土地のお祭りもチェックするのだとか。お祭りは、その場所の歴史が反映されていることが多く、自然災害や気候を読み解く手助けになる。そう行った手法も京都での経験が生きているのです。

現在、坂さんは埼玉県で新築を3件、マンションのリノベーションが1件、都内で新築を1件手がけています。最近完成したという長野のゲストハウスの画像も見せていただきました。古民家をリノベーションした物件かと思いきや、なんと新築物件とのこと。伝統建築好きな坂さんらしい一軒ですね。古きよきものを受け継ぎ、今の時代に合わせてアップデートする手法は飯能との相性もよさそうです。店舗併用住宅なども相談してみてはいかがでしょう。

撮影:澤崎信孝

※余談ですが、猫を飼っている方は設計料の割引があるそうですよ!

関連情報

事務所名
S/A坂利春建築研究所
川越アトリエ
埼玉県川越市霞ヶ関東3-4-2
日高事務所
埼玉県日高市中沢519
TEL
049-215-1409
049-215-1409
メール
info@sa-design.org
HP
https://www.sa-design.org/
Instagram
@saka_architectural_firm

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記事を書いた人:
赤井 恒平

飯能生まれ。AKAI FactoryやBookmarkを手がけた、飯能リノベーションの第一人者。地域や人をつなぐ「橋をかける仕事」をしています。

  • 飯能市キーマン
  • AKAI Factory 代表
  • 埼玉県「まちなかリノベ賞」最優秀賞(R2年度)

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