あそぶ

ライター:つるまゆ

2022.02.04

山の名刹を味わう「高山不動尊」を経て「顔振峠」へ

山の名刹を味わう
「高山不動尊」を経て「顔振峠」へ

薄曇りのやわらかい光がふりそそぐ冬空のもと、飯能市吾野と越生町をつなぐルートを歩いてきました。古刹「高山不動尊」から「関八州見晴台」を通り、「黒山三滝」から「顔振峠」へと戻る、少し長めの行程です。

西武秩父線・西吾野駅を下りたのは、9時を少し過ぎたころ。線路沿いを20分ほど歩くと、山道への入り口に到着します。古い石標のある橋を渡り「シバハラ坂」へ。

「萩ノ平茶屋跡」を過ぎると石地蔵までは10分ほどで到着。石標と美しい顔のお地蔵さんが迎えてくれます。ここから30分ほど歩くと「高山不動尊」の案内板が見えてきます。

関東三大不動の一つである「高山不動尊」。案内板から広場の方へ下ると、そこには社殿に続く参道があり、右手には圧巻の大銀杏がそびえ立っていました。

推定樹齢800年の大銀杏、案内板には「子育て銀杏」との別名も記されています。理由は南側の樹形を見て納得。「乳」と呼ばれる、木の一部分が枝下から地面に垂れ下がっている樹形を指したものでした。

急な石段を登っていくと、こちらも立派な本堂が見えてきます。本堂の床板は一枚板、堂内や軒下には絵馬がかかっていたような跡がいくつも残っています。

太い梁や柱が何本も使われている境内。一体どうやって運び込み、どのように建造したのでしょうか。興味が尽きません。冬至の御開帳にはぜひ訪れたい場所になりました。

「高山不動」の奥の院がある「関八州見晴台」はさらに30分ほど登った場所にあります。日明がよくあずまやなどもあり、関東の八州が見渡せるといわれる眺望をゆっくり楽しめる場所です。

山頂にはすでに宴会を始めているパーティーがちらほら。春には桜のお花見でさらに人気のスポットとなりそうです。ここからは、越生町の「黒山三滝」方面へ向かいます。

舗装路に出たら「傘杉峠」との分岐を通り過ぎ、また山道に入ります。乾燥して崩れやすい足元が次第に湿り気を帯びて、右手に水音が聞こえ始めると、あっという間に水量が増えて川が現れます。「黒山三滝」の源流でしょうか。シダ植物に囲まれた山道の終点が黒滝三山です。

離れた場所からは細く上品に見える滝も、滝壺の近くに寄ると勢いがあります。岩壁に生える苔を伝って落ちるしずくがきらきらと光って、見入ってしまう風景です。

時刻は13:30。陽が沈みはじめる前にふもとまで下りたいところです。「黒山」から越生駅を結ぶバスで下山することもできますが、もう少しだけ歩きたい気分。

渋沢平九郎の墓が祀られている「全洞院」までは下りずに「坂尻」から「顔振峠」へ向かいます。峠までは約45分。傾斜はゆるやかですが、北斜面の暗い道を歩くのは少し心細くなるかもしれません。それだけに、登り切ったときの明るい日差しが余計にうれしく感じます。

こちらの記事でもおなじみの「顔振峠」。茶屋からは出汁のよい香りが…。寄り道したいけれど「吾野」駅までは下りで約50分。誘惑を振り切って下山します。

「平九郎茶屋」の脇を下ると、右手に広がる風景はぜひ見ていただきたいスポット。この辺りのルートを歩いていると出会える「山上集落」の、のどかな風景が夕日に照らされていました。

「吾野トンネル」の手前の「借宿神社」まで下りたら、本日のルートは終了です。電車の時間まで「吾野宿」で過ごします。〆はやはり飯能の酒蔵「五十嵐酒造」の「天覧山」をいただきました。

見所が多い「顔振峠」を中心としたこのルート。山道を歩いていると現れる修験道場「高山不動尊」の荘厳な佇まいに、車で訪れるのとはまた違った感動を味わえます。穏やかな冬の吾野を楽しみながら、春の兆しをぜひ探しにきてくださいね。

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記事を書いた人:
つるまゆ

長野県上田育ち→東京経由→埼玉県飯能暮らし/自然に囲まれた生活を愛して、2021年に移住/山と緑、自然食と手仕事、コーヒーを楽しむ生活

  • 職業は経理&ライター
  • 登山大好き
  • 和服大好き

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