あそぶ

ライター:飯塚 まりな

2023.08.18

初心者から上級者まで、メダカ専門店「メダカワールド」

初心者から上級者まで、
メダカ専門店「メダカワールド」

駿河台大学近くの住宅街に突如現れる緑のネット。中には無数の水槽が並び、一瞬何のお店かわからないのですが、入り口に「メダカワールド」の看板があります。

メダカといえば、あの歌。誰でも歌えるあの名曲を口ずさみながら、ライター飯塚は店主の小熊孝則さんを訪ねました。

小熊さんはメダカのブリーダーになって20年以上。魚が好きで、周りからすすめられメダカを飼ったことが人生の転機になりました。

気づけば自宅の目の前で開業、店舗営業は土日のみ。平日は医療器具の製造会社に勤め、帰宅するとメダカの飼育に勤しみます。

「メダカは自分で育てて、簡単に卵を採取できる育てやすい魚です。メダカワールドでは、繁殖や品種改良を行い『紅灯』や『愛染』などオリジナルのメダカがいますよ」

メダカワールドでは初めて飼う方にも、ていねいに飼育方法を教えてもらえます。

何を飼ってよいのかわからない人には、10匹1,000円の「おまかせセット」がおすすめ。小熊さんが選ぶメダカ、中には高級なメダカも数匹入るのでお買い得だとか。

初めて飼う魚として一般的なメダカはもちろんのこと、中には上級者向けのものもいます。

特に注目は「ダルマ」という品種のメダカ。多種多様で、丸っこくミニ金魚のような姿が愛らしいです。

温度管理ができるダルマ専用の育成ハウスは珍しく、一般的なメダカとは違い素人では繁殖が難しいと言われています。

丸っこい体型がオスの動きを弱くさせ、上手に卵を授精できないそうです。理想の体型をつくる大変さは、人もメダカも同じですね。

高水温の28度前後なら繁殖がしやすく、ダルマの出現率が上がるなど環境を整えることも大切。

熱心なメダカファンは「小熊さんの育てた元気なダルマを買いたい!」と探し求め、全国から買いに来られる方もいます。

メダカ関連でメディアや雑誌に登場することも多いメダカワールド。コロナ禍から癒しを求めて飼う人も多くなっているとのこと。

販売するうえで大切なことは、メダカがいかに丈夫であるか。せっかく縁あって飼うのだから、お世話する楽しみを知ってほしいと小熊さんは心を込めて飼育しています。

メダカが学校へ行くきっかけに

小熊さんにお客さんとのエピソードで、印象に残っていることをお聞きしました。

ある日、県外から小学生の女の子とお母さんが来たそうです。学校に通えていないということで「心の癒しに」とメダカを買っていきました。

家でメダカを飼うようになった女の子は、気持ちが前向きに変わっていきます。お母さんが、ときどきメダカの様子を小熊さんに報告していました。

5年生になり、メダカを飼う授業がありました。女の子は「学校へ持っていく」と自分の育てた大切なメダカを学校まで運び、クラスで飼うことが決まりました。

これをきっかけに学校に通えるようになり、クラスでは「生き物係になった」と喜んでいたそうです。メダカのおかけで自分の役割と居場所を見つけることができた女の子は、今でも休まず登校しています。

小熊さんもこのことを大変喜び「メダカワールドをやってよかった」と話していました。

「私もメダカを通して、いい出会いがたくさんありました。何より生き物は信用が大事です。これからもみなさんが簡単に飼うことのできる丈夫で元気なメダカを育てていきたいですね」と笑顔を見せてくれました。

取材後、その女の子とお母さんが夏休みを使って遊びに来てくれたそうです。

ひとりの小学生を元気づけ、自信を持たせてくれたメダカの力。メダカの学校は川の中、そおっとのぞくとメダカだけでなく、子どもたちの笑い声も聞こえてきそうです。

関連情報

店名
メダカワールド
所在地
飯能市岩沢1007-2
TEL
090-1033-1592
090-1033-1592
営業日
土曜・日曜
営業時間
9:00〜17:00
HP
http://e-medaka.jp/
Instagram
@e.medaka315

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記事を書いた人:
飯塚 まりな

イラストレーター兼ライター(主に人物取材を好む)。最近は愛車で過ごす車中ランチが生活の一部。夢は発展途上国で医療や教育に関わる日本人の取材。

2021年に働く30代男女の仕事や生活についてインタビューした『〜西武沿線上で探した〜近所の30代「今」何してる?』を全国の天狼院書店発売(2022年1月まで)。

  • 『ちいき新聞』レポーター(2020年〜)
  • 『ショッパー』レポーター(2019年〜)
  • 介護福祉士

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