くらし

ライター:椛沢 功太

2023.03.20

着るアートと新時代の表現者「AVA」

着るアートと新時代の表現者
「AVA」

「新時代」

昨年、Z世代のトレンドの中でもひときわ目を引き、日本においてもこれまでの前提が崩れた、新たな時代への突入を表したワードでもある。

埼玉県の景観重要建造物にも指定されている「吾野宿」で、2021年と2022年に開催された『ネオニッポン市』は、アート、クラフト、食、音楽、パフォーマンスなど多様な表現の中に「現代の日本の感性」を表現する、というまさに新時代を感じさせるイベントとなった。

このネオニッポン市をディレクションしたのが、ファッションブランド「AVA」の遠山瑞紀さん。

もともとグラフィックデザインを学んでいた遠山さん。あるとき、ファッション関係の友人を見ていて「自分でもつくりたくなってしまった」と、自社ブランドを立ち上げる意欲が止まらなくなってしまう。

ある日、中国で自社工場を持っている知り合いに誘われたことがきっかけで、急遽AVAを立ち上げることとなった。

場所は生地市場や縫製工場が集まっているアパレル関連の人は誰もが知っているであろう、世界最大規模の繊維市場と称される中国の広州。

一つのまちほどある広大な面積の生地市場

生地市場で集めた生地見本

AVAの立ち上げにあたって、2年くらいは日本と中国を行き来する生活が続いた。

当時、H&MやForever21など海外のファストファッションが日本にも台頭してきた頃で、デザイン性が高く個性的ではあるが、比較的手の出しやすいストリートファッションブランドを目指していた。

発表にあたって海外での撮影も済ませ、東京、北京、上海で展示会を開催する準備も整い、最終フェーズになったときに中国側が音信不通に…。結局、展示会を開催することは叶わず、幻に終わったファーストシーズン。

その後、日本を拠点に一点もののハンドメイドを中心としたブランドとして路線を180度転換して、再スタートを切ることになる。

ファッションを「流行」から「着るアート」へ、をコンセプトに走り始めた2012年。もともと学生時代に京都の奥嵯峨で着物職人の美意識に衝撃を受けた経験があったことから、2016年から現代版の和の感性をより意識した作品づくりを深めていく。

「ストリートカルチャーやストリートファッション、サブカルチャーといった若者カルチャーにいたからこそ、日本の伝統的な美意識を現代の日本の感性と融合させたい」と考えるようになった。

2020年に「名栗の杜 喫茶&ギャラリー」にて展示会を開催したことがきっかけとなり、それまで住んでいた大宮から拠点を飯能へ移し、自宅兼アトリエで一点ものの作品を創作しながら、イベント企画にも心血を注ぐ。

今後の生活について聞いてみると「これまでに4回、古民家や昔ながらの日本の感性が残る場所に現代のアーティストや出店者を招き『総合的な現代の和』をイベントを通して表現してきた。世界観を伝える方法の一つとして『ネオニッポン市』は今後も力を入れてやっていきたい」と力強く語ってくれた。

「また機会があれば、温泉旅館とのコラボにも挑戦してみたい。数日間にわたっての開催や文化財的な建物を通して、日本の美意識を多くの方に伝えていきたい」

遠山さんが飯能で描く現代の日本の感性が「新時代」とともに広がっていくのが、とても楽しみである。

写真協力:AVA

関連情報

ブランド名
AVA
HP
https://www.ava-jp.com/
Instagram
@ava_jp
Facebook
@ava.brandpage
Twitter
@AVA_info

この記事のタグ

記事を書いた人:
椛沢 功太

南高麗地区の魅力にひかれ、飯能へ移住を決意するが、現在は美杉台に在住。地域資源を活用した多世代交流と健康コミュニティの創出に奔走中。二児の父。

  • 作業療法士
  • フカダヤ店主
  • 飯能発ローカル偏愛ラジオ・ナビゲーター

関連記事/おすすめ記事