たべる

書いた人:飯塚 まりな

2022.09.06

近海・旬・鮮度!が命「鮮魚専門店・滝長」

近海・旬・鮮度!が命
「鮮魚専門店・滝長」

大正12年(1923年)創業、鮮魚専門店の滝長さん。今年で99年目を迎え、これまで多くの飯能市民に愛されてきました。

海なし県の埼玉で、美味しく新鮮な魚を買えるお店はなかなかないはず。魚だけではなく、ご夫婦の人柄もよし! 人情味あふれるお魚屋さんを取材しました。

魚好きな人は必ずいる

店主の滝澤修一さんは3代目。大学を卒業し、祖父から続く家業を継ぎました。「あと10年遅かったら、魚屋はやらなかったかも。継ぐ年代としてはタイミングがよかった」と話す修一さん。当時、飯能銀座商店街はとても活気があり、人通りも多くにぎやかでした。

今でも毎朝、東京豊洲、埼玉川越の市場で魚を仕入れてくるのが日課。旬の美味しそうな魚介を選び、自ら触って鮮度を確かめ、イキのよい魚を飯能まで運んで店頭に並べます。

「仕入れは、よく買いに来てくれるお客さんの好みで選んでいることも多いです。美味しいと言ってもらえることが一番だし、地域で必ず魚好きな人はいると思っています」と笑顔の修一さん。

お客さんには、わがままを言ってほしい

奥さまの真紀さんも「いらっしゃいませー!」と迎えてくださいました。この日は店の外にある業務用グリルで魚や鰻を焼いていました。

33年前、滝長にお嫁に来てからずっと店頭に立ち、商売をしながら子育ても経験した真紀さん。修一さんも「元気で商売っ気があって助かる」と頼りにされています。

滝長では、なんと!お会計時にプラス50円で魚一尾から焼いてくれるとのこと。ひとり暮らしの方や調理の時短にもなるサービス。魚を焼いてもらう光景を見ながら、「はしらベンチ」に腰かけて待つひとときも風情があっていいですね。

真紀さんのおすすめは、魚の盛り合わせ。お客さんの予算を聞いて、好みの魚を選んで盛り合わせをお造りできるのが、まちの魚屋さんならでは。お食い初めの焼き鯛、手巻き寿司、姿造りなども受け付けています。

「お客さんにはわがままを言ってくださいね、と思っています。ご希望に添えるようなお造りができたらうれしいです」と微笑む真紀さんを見て、それならわがままを言ってみようかなという気持ちに。

注文が多いのは「鯵のたたき」。まぐろのお刺身の安定の人気。リーズナブルな価格で新鮮な赤身が目を引きます。銀鱈の自家製味噌漬けや、パン粉のついた魚も夕飯のおかずによろこばれます。

よく見たらポテトマカロニサラダなどの惣菜も並んでいました。パートさんが担当するリンゴ入りサラダは昔ながらの懐かしい味で評判なんだとか。

男性客も多く、自分だけのおつまみやちょっとよい魚を食べたいという方もいて、店内が男性ばかりになってしまう日も少なくないそうです。

でも、商店街で魚を買うことに慣れていない人も多いはず。そんなときは「一声かけてください」とのこと。簡単なレシピや食べやすい魚の調理方法を教えてもらえるので、ありがたいですね。

これからも魚を美味しく食べ続けるために

すべての食材がスーパーで揃う時代になりました。高齢化も進み、商店街の空き店舗も増えている中、唯一無二の存在、鮮魚専門店・滝長。

修一さん曰く「魚の種類は、年々少なくなっているように感じる」とのこと。昔は珍しい魚もたくさん仕入れて、お客さんも知らない名前の魚介が並びましたが、現在では難しくなっています。

修一さんが「地球の資源をもっと考えないと、将来食べられる魚がなくなるのでは…」と心配されていたのが、印象的でした。今回の取材を通して、今よりもっと地球環境にも関心を深める必要があると感じました。

写真:赤井恒平

関連情報

店名
鮮魚専門店・滝長
所在地
飯能市仲町3-10
TEL
042-972-2327
042-972-2327
営業時間
10:00〜19:00
定休日
月曜・火曜
Instagram
@takicyo2327

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記事を書いた人:
飯塚 まりな

イラストレーター兼ライター(主に人物取材を好む)。最近は愛車で過ごす車中ランチが生活の一部。夢は発展途上国で医療や教育に関わる日本人の取材。

2021年に働く30代男女の仕事や生活についてインタビューした『〜西武沿線上で探した〜近所の30代「今」何してる?』を全国の天狼院書店発売(2022年1月まで)。

  • 『ちいき新聞』レポーター(2020年〜)
  • 『ショッパー』レポーター(2019年〜)
  • 介護福祉士

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