夏の暑いあいだ、7月から9月い…
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たべる
ぼくが都内から飯能へ引っ越してきて、とても新鮮だったのは、お店に訪れるお客さんどうしが仲よく話していて、お店のオーナーさんとも気軽に接していること。そば舎あおのオーナー佐藤さんは、一人でお店をオープンして6年目になります。
お客さんには、家にいるときのように好きに過ごしてほしいという思いから、調理以外のことは基本的にセルフサービス。
初めてのお客さんは、お茶を淹れたり、そば湯をいただいたり、お店の自由な勝手を理解するのは難しい。そんなとき、他のお客さんが声をかけて教えてあげるやりとりがあたたかい。
不便な場所だけど、感じる魅力がたくさんあった
店舗を構えた場所は、飯能市小久保。旧道沿いの表通りからは見えないわかりづらい場所。知り合いが誘ってくれて、一緒にこの古い小さな平屋を見たときに「ピンときた」と話します。
「初めて訪れたとき、ここの場所に流れている空気がいいなと思った」と佐藤さん。決め手は床材のおもむきと、窓から見える景色。
決して便利な場所ではないけれど、ここに佇んだときに気持ちがよいと思った。自分自身が納得できたので、ここでおそば屋さんを始めることを決心しました。
古い小さな平屋を自らリノベーション
物件を借りて1年半くらい、そば打ちを勉強するためおそば屋さんでアルバイトをしながら、残りの時間で自ら補修や手入れをしていきました。
そば舎あおを始める前、14年間古道具屋の店長として働いていた佐藤さんとは、その頃に知り合いました。いつか自分でお店を始めるなら、飲食店がよいと話していた佐藤さんは、シンプルで美しいものを好み、黙々と手入れをすることが得意な職人肌の印象でした。
古道具店で働いていたときに好んでいた感覚と、粉と水、しょうゆのタレでたべる、そばのシンプルな世界が自分に合っているのではないかと感じ、そば屋を始めることを決心しました。
一人で店ができること、シンプルであること、職人的なこと
ともすれば作法のようなものを感じるそばの世界で、そば舎あおは食べ方にこだわることなく、自分が食べておいしいと思えるようなメニューづくりを心がけています。
これから先も、淡々とお客さんが店を楽しみ、そのときの流れに任せて続けていきたいと佐藤さん。
地元のお客さんが忙しい時間に手伝ってくれることもあり、だんだんと仕事もやりやすくなってきたと話します。
飯能でお店をはじめてよかったことは?
「まわりに都心から引っ越してきた人も多くて、いろいろな人が住んでいるからいいと思ってます。個人店がたくさんあるので、個人店を利用することにも慣れていて、定期的に通ってくれるお客さんが多くてうれしい。大人になると家族や職場の人以外と話す機会も多くないから、話を聞いてもらえて関わりを持って過ごせることは、すごくいい経験です」
様式にとらわれないスタイルでお店を始め、その感度に好感を持ちながら多くの方が毎日来店しています。そのようにして生まれた関わりは「店主・お客さん」という垣根はなく、人どうし好みを分かち合える素敵な居場所となっています。
関連情報
- 店名
- そば舎 あお
- 所在地
- 飯能市小久保275-4
- 営業時間
- 11:00〜17:00(売り切れ次第、終了)
- カフェ時間
- 14:00以降
- 定休日
- 火曜・水曜
アクセス
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記事を書いた人:
渡邉 優太
ユニバーサルデザインに関心を持ち、大学では工業デザイン、人間工学を学ぶ。卒業後〈ザ・コンランショップ〉に入社。植物やガーデンファーニチャーの担当に。その後、いくつかの仕事を経て独立。飯能市に『REFACTORY antiques』をOPEN。国内外で買い付けた古い家具を修理して販売し、個人宅のリフォーム、店舗の空間演出も手がける。
- REFACTORY antiques 店主
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