7月上旬、山々と清流に囲まれた…
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たべる


上名栗の山と川に囲まれた場所に、2025年10月にオープンした「にじ色ぱん日和」。

絵本の中に登場しそうなお家の一室にある、かわいらしいパン屋さんです。お店をされているのは、筒井ひろみさんと娘さんのお二人。

ひろみさんが焼いているパンは、どれも自家製の天然酵母パンです。
お店には常時10種類ほどのパンが並び、定番メニューの「カンパーニュ」「あんぱん」「まる粒ライ麦パン」などに加えて、日替わりでいろいろなパンが登場します。
取材の日には、アナゴの天ぷらがのった珍しい「アナゴパン」や、ツナとマヨネーズと塩麹を混ぜたものをちくわにのせた「ちくわとツナマヨ」など、どんな味なのかワクワクするようなパンも。

お店イチオシのパンは「カンパーニュ」。
触れるとふわっと柔らかですが、ちょっと押してもすぐに元に戻るほどのしなやかな弾力があります。

食べてみると、天然酵母パンならではの芳醇で豊かな味わいを感じます。
あるとき名栗へ登山に来た方が、たまたまお店に寄ってカンパーニュを買われたそう。
「その方が、20分後に戻って来て『美味しかったからまた来たよ!』と再び買って行ってくれたんです」
きっとそのお客さんは、偶然出会ったカンパーニュの美味しさに感動したに違いありません。
たっぷりの自家製のあんこと白玉が入った「白玉あんぱん」も人気の商品です。白玉が贅沢に4つも入っています。

「どこから食べても白玉が出てくるようにしているんです」とひろみさん。
食べた人のふとした幸せにつながる粋な心づかい。ほどよい甘さにホッとする優しい味わいのあんぱんです。
この日のあんぱんは、リンゴの天然酵母で発酵させたといいます。前の日はレーズンの酵母だったそう。酵母はどのように使い分けているのでしょうか?

ふんわりの秘訣は、元気な天然酵母
「天然酵母は元気だとポコポコとしているので、その状態の酵母を選んで使います」
毎日酵母の様子を見て、その日に使うものを決めているのだそうです。

ご自宅で育てたレモンやイチゴ、ハーブを使った天然酵母や、お酒、ヨーグルト、レーズン、リンゴなど、たくさんの酵母をつくってきたひろみさん。
パンを焼かないお休みの日も酵母の仕込みをしているそう。そんなパンの生命線のひとつ、リンゴの天然酵母を見せていただきました。

左はリンゴに水を加えて数日間発酵させた果汁。右はその果汁とライ麦や全粒粉といった粉類を混ぜ合わせ、さらに数日発酵を繰り返してたもの。完成には10日ほどかかるそう。
発酵したリンゴの果汁は、シードルのような香りがしました。焼くと香りはなくなってしまうそうですが、味わいは変わってくるのだとか。
「たとえば、ヨーグルトの天然酵母を入れるとマイルドになります」
酵母はブレンドして使うことも多いそうです。この日のミニ食パンには、ヨモギとリンゴの天然酵母が使われていました。

天然酵母は、その日の室温や酵母の状態によって発酵時間が大きく変動します。生地は営業日の前日のお昼から仕込んで、ゆっくり発酵させます。
「慣れないうちは、当日の午前1時から作業していました」とひろみさん。今は慣れてきて朝4時からになったそうですが、やはりパン屋さんの朝は早いのです。
「焼く前の発酵で、ふわふわになったかどうかを見極めるのは、娘の方が上手なんです」
娘さんの名アシストで、ひろみさんの仕込む酵母はさらに本領を発揮します。

扱いが簡単とはいえない天然酵母。それでも天然酵母でパンを焼くのは「食べた後に胃が重くならず、体に優しいから」とのこと。
しっかりと食べごたえがあるのに、身体への負担が少ないのはうれしいですね。
名栗で生まれた個性豊かなパン
ひろみさんはお店をオープンする前に、3年ほどパン教室を開いていたそうですが、パンづくりを始めたのは20年も前なのだとか。
名栗にお知り合いの彫刻家の方がいたこと、ひろみさんとご主人が違う不動産屋さんでそれぞれ名栗をおすすめされたことで、38年前に国立から名栗へ移住されます。

川向かいにある「古民家ひらぬま」の平沼さんと知り合い、ひろみさんと同じ福岡出身ということもあり、話が盛り上がります。
「平沼さんから『昔はかまどでよくパンを焼いていた』というお話を聞き、毎朝家族のためにパンを焼くっていいなぁと思ったんです」

そこで会社勤めをしながらパン教室に通い、パンを焼き始めます。
名栗でのご縁でパンづくりが始まり、庭や地元の素材から天然酵母が生まれ、近隣の新鮮な無農薬野菜を取り入れる。こうして地域に根ざしたひろみさん独自の美味しいパンが誕生しました。

鹿やタヌキ、キツネ、イノシシが住む豊かな自然に囲まれた「にじ色ぱん日和」。お店の名前は、ある日向かいの山にかかった大きな虹から付けられています。

日々移ろう季節と旬の素材、天然酵母、そしてひろみさんのアイディアと娘さんのアシストによって焼き上がる、虹の色のように多彩な顔ぶれのパンたち。
今日の気分にぴったりのパンを探しに、ぜひお店を訪れてみてください。

写真:赤井恒平
関連情報
- 店名
- にじ色ぱん日和
- 所在地
- 飯能市上名栗3172-6
- 営業日
- 木・金・土・日
9:00〜 売切れ次第終了
- 定休日
- 月・火・水
- 駐車場
- 店前に1台、神社側駐車場に1台
- @rainbowbreadday
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記事を書いた人:
清水 麻由

飯能周辺のイベントに出没しては、消しゴムはんこなどを彫る人。造形屋。自由人の夫&息子とゆるくて愉快な飯能ライフを送っています(飯能市内で広いおうち探してます)。
- アート・クラフト屋イワオカフェ
- くらしの修繕センター・イワオヤ
- ウッドターニング(木工旋盤)修行中
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