2025年2月、西武池袋線吾野…
-
たべる
飯能下畑郵便局の近く、眼下に成木川を見下ろす「クレソン」。丁寧で美味しいと評判の洋食レストランです。
飯能のまちなかから少し離れた南高麗地区にあるレストランですが、建物の裏手には広々とした駐車場があり、ゆったり駐車することができます。
お店を切り盛りするお母さんと長女の千夏さんにお話を伺ってきました。
クレソンの歴史は47年
「お店はいつ始められたんですか?」そうたずねると、お母さんがいろいろなエピソードを交えながら、優しい笑顔でお話してくれました。
創業当時は畑トンネル(現在は通行止め)の近くにスーパーと小さなレストランがあり、スーパーを兄が、レストランを弟であるマスターが切り盛りしていました。
それから10年ほど経った平成元年(1989年)、現在の場所へ移転。
当時、このあたりに洋食屋さんがなかったため「クレソンで初めてピザを食べた」という子どもが多かったのだそう。
また、常連のお客さまの要望に応えるうちに、マスターがうどんやカツ丼などたくさんのレシピを生み出していきます。
ある日、うどんを注文したお客さんがうどんのつゆを見るなり「こんな薄いの食べられるか」と言い出しました。
接客担当のお母さんが「でも…ぜひ全部食べてみてください」と返すと、帰り際お客さんに「さっきは悪かった。美味しかったよ」と一言おっしゃったそう。
昔ならではのやりとり、マスターの味を認め素直に謝るお客さん。ドラマのワンシーンのようです。
今はメニューにうどんやカツ丼はないのですが、食べてみたかったなあと思いました。
銀座のレストラン仕込みの味
銀座のレストランで洋食の修行をしたマスターの味には、驚きのエピソードがありました。
クレソンにしょうが焼きを召し上がったお客さんが、ホールのお母さんに一言。「これ、あの店の味に似てますね」
実はその店で修行をしていました、と伝えると、なんとその銀座のレストランの社長とそのお客さんがお友だちどうし!
あまりの偶然とお客さんの味覚の鋭さに、マスターもお母さんもびっくり。その後、そのお客さんは常連になってくださり、親しいお付き合いが続いたのだそう。
そのしょうが焼き。今でも食べることができます。
お肉は厚みも枚数もたっぷりあり、脂もほどよくしっとりのっていて、味つけが本当に絶妙でした◎
マスターのレシピノート
マスターのレシピノートの味をできるだけ守っているクレソンのこだわりは、
- ソースもドレッシングも手づくり
- お肉は注文が入ってから切り分ける
- ピザは注文が入ってから生地をのばす
「だから時間がかかるの、ごめんなさい」と微笑むお母さん。
「でも、あらかじめ切っておくと味がどうしても違うから」と千夏さん。
カレーもなるべくレシピノートに忠実に、スパイスからつくっているのだそう。
「とても以前のように全部はできないけど、これだけは残していきたいってメニューを選んで…」
マスターから受け継いだ味を大切に守りたい、お二人のお気持ちが伝わってきました。
営業再開とお客さんたちの力
2019年末にマスターが亡くなり、すぐにコロナ禍がやってきて…。お母さんは店を閉め、お弁当だけの営業を続けました。
そして2年前、一念発起して営業再開。お店を開けることに。
「そうしたら、お客さんがいろいろ直したり、つくったりしてくださるの」お母さんがぱっと笑顔を輝かせます。
お店のロゴ、ロゴ入りのロールカーテン、新しいメニューブック、雨どいの掃除、看板の電気修理、カウンター席とテーブル席の仕切りガラス設置、などなど!
「本当にいろいろな方に助けていただいて、おかげさまで営業できています」と千夏さん。
たくさんのお客さんに愛されているレストランなんですね。そして、こんなかわいらしいエピソードも。
ある雪の日、お店の前に行列が。
近所のお子さんがつくってくれたのでしょうか。小さな雪だるまが並んでいる写真を見せていただきました。
「これが私、本当にうれしくて!」と千夏さん。千客万来。ほっこりする素敵な贈りものですね。
レシピノートとお客さんに支えられて
マスターのレシピノートと温かいお客さんに支えられて、お母さんと千夏さんで切り盛りされているクレソンさん。
最後に一言いただきました。
「ご注文を受けてからお肉も切るし、一人か二人で営業しているので『急ぎで!』というのは難しいですが、よろしければぜひお越しください。お電話いただければ、テイクアウトやお弁当のご用意も可能です」とのこと。
自治会の集まりで何度かいただいたことがありますが、お弁当もとても美味しいのでおすすめです。
配達はしていないのですが、受け取り時間のご希望など、お電話くださいとのことでした。
月曜から木曜はランチのみ、お母さん一人で営業されていて、金曜と土曜はランチとディナーで、千夏さんと二人三脚です。
飯能の老舗洋食レストランの、歴史と愛のこもったお料理の数々。ぜひ召し上がってみてください。
関連記事/おすすめ記事