たべる

飯能を代表する景勝地、飯能河原のすぐそばにあるブリュワリーレストラン「CARVAAN（カールヴァーン）」。ここでは飯能の地ビールとアラビア料理を楽しむことができます。

飯能の地ビールが飲めること、落ち着きのある上質な空間は他にはなかなかないので、私も市外県外から来た方をおもてなしするときに使わせてもらっています。

でも、いつも疑問に思うことがあります。なぜ飯能でアラビア料理なのでしょう？ その答えを探るべく、取材に行って来ました。

食文化の起源はアラビアにあり！？

お話を伺ったのは、飯能ご出身でレストランを運営している会社の執行役員を務めている須田典子さん。まずは、CARVAANについてお聞きしました。

「お店のコンセプトは『食と酒の起源をたどり、歴史と文化を映し出す』としていまして、世界の料理の起源をたどると古代メソポタミアに遡り、そこでは最初に小麦の栽培が始まり、小麦からパンが焼かれ、パンが発酵してビールができたと云います。そしてパンとビールは世界に広まっていく」

「世界最古の料理レシピも粘土板に刻まれたと云います。古代メソポタミアは、現在の中東にあるイランやトルコのあたりになり、そのルーツを現代に受け継いでいる料理が中東の国々で食されるアラビア料理ということになります」

「私たちは、実際に現地に赴いて浴びるほどたくさんの料理を食べて（笑）、自分の中に一つのアラビア料理の基準をつくるんです。そうして現地のエッセンスを取り出し、マーケットで必要なものを見つけ、そこにスパイス達人の松下シェフが旨みと繊細さを足して、日本人が美味しいという味にアレンジするのがCARVAANのメニューです」

たとえば、お店で出しているパンは古代小麦を使用。

香りもよく、中はしっとり、ギュッと詰まった感じで食べ応えがあります。さらに現代の小麦に比べると、グルテンが少なく栄養も豊富なのだとか。

名物でもあるタジン料理もスパイスたっぷり。「スパイス＝辛い」と思ってしまいがちですが、辛さは控えめで香りがしっかりしていて、食べやすくなっています。

注文したのは「白身魚のタジン」。カレーのような香りと、スパイスに負けない魚の絶妙です。

3種の前菜、先ほどの古代小麦のパンもついてきます。

食べる機会の少ない中東料理。それを日本人向けにアレンジしたお店となると、全国的にも珍しいのではないでしょうか。

また、レストランは飯能の他に渋谷のスクランブルスクエアに「CARVAAN TOKYO」、横浜桜木町に「CARVAAN Bay Yokohama」が。

他にもカウンターで気軽にビールを楽しめる、Beer Houseが飯能駅北口と渋谷駅地下街にあります。場所やニーズに合わせて使い分けられるのが、うれしいですね。

そうそう、実はCARVAANにはドレスコードがあります。といっても、スーツやドレスでないと入店できない、という厳しいものではなく「非日常をより一層楽しむために、少しだけおしゃれして来てください」という感じです（ただし、夜は中学生以上）。

ランチはお子さまもOK。登山帰りに立ち寄っても大丈夫だそうです。

食材やワインなど自社で輸入

CARVAANを運営しているのは、飯能に本社を置き、30年ほど前から中東を中心に貿易業を営む「FAR EAST」という会社。

輸入しているのは、ドライフルーツ、ナッツ、ワインなどが中心で、それらは「FAR EAST BAZAAR」というお店で販売しています。店舗は渋谷ヒカリエや新宿ルミネなど都内をはじめ、大阪や福岡など全国展開しています。

レストランの料理に使われているドライフルーツやナッツ、スパイスの一部やワインも直輸入。自分たちが現地で選んだ本当にいいものを使っているのです。

飯能ではもちろん、都内でもなかなかお目にかかることの少ないアラビア料理。本場を知るレストランが伝えてくれる、その香り高い食文化を味わいに、ぜひ飯能へお越しください！

※レストランの紹介で、それなりのボリュームになってしまったため、地ビールについては別の記事で紹介します。