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書いた人:つるまゆ

【レポート】山間に集まるクリエイターたちをめぐる旅

【レポート】山間に集まる
クリエイターたちをめぐる旅

「ロングライフデザイン」をテーマに、日本中に眠っているアイテムを再発見・発信している『D&DEPARTMENT』。

「もののまわり」をテーマに、地域のものづくりや場所、食文化、活動を紹介するd47 MUSEUM第30回企画展「ものにはまわりがある展」と『はんのーと』の共催企画「山間に集まるクリエイターたちをめぐる旅」が、9月3日(土)に開催されました。

今回の参加者は17名。飯能の「もの」のまわりに熱い関心を寄せてくださったみなさまだけに、お一人での参加でも会話がはずみ、会場では積極的な質問が交わされる場面も。

心配されていたお天気もどうにか持ちこたえ、終始和やかな雰囲気のツアーとなりました。

都心からほど近い飯能エリアを拠点に活動する方々をめぐる、今回のツアー。飯能ならではのプロダクトや場所、活動を「もの」として「もの」が生まれた背景や、人、文化、仲間といった「まわり」のストーリーを深掘りしていきます。

ご紹介したい方々がめじろ推しのなか、厳選を重ねて5か所をピックアップ。それぞれの活動を知るうちに、浮かんできたのは「ボーダーレス」、決まりきった境界線を外してみるというキーワードでした。

最初に訪れた「Saturday Factory」の作品は、「素材」の境界線を軽やかに越えていました。

飯能駅から車で約30分の自然豊かな名栗地区で、インテリアアイテムやおもちゃを創作する小田切さん。草花や羽、ネジやボルトなど、日常の中で見過ごされがちな素材が、作品に欠かせない魅力を生んでいます。

「一度は不要になった廃材でも、わたしにとっては廃材ではないんです」

手にしているものは本当にいらないもの? 固定概念の枠を外して、素材そのもののユニークさを活かした作品を生み出すヒントが詰まったアトリエでした。

ランチは窯焼きパンが大人気の「日月堂」で。店主の上野さんは「あたりまえ」の境界線を外し、手間はかかっても「もの」本来のつくり方を追求してきました。

伝統工法で家をつくり、壁を塗り、手づくりの窯でパンを焼く。パン本来のおいしさを今も追い求めているお店です。

ONもOFFも楽しみたい、そう考えながらもONを満喫できずにいる方は少なくありません。

飯能市のお隣、日高市でカフェ、コワーキングスペース、イベントスペースを統合した施設「CAWAZ base」を運営する北川さんは、「仕事と休日の境界線をなくしたい」と話します。

仕事に集中できる環境と、川遊びやサウナなどの遊びを楽しめる設備が隣り合わせの「CAWAZ base」。ONとOFFを分け隔てなく味わいつくす日常から、新しいインスピレーションが浮かんでくるかもしれません。

県内外から注目を集める、飯能のアンティークショップ「REFACTORY antiques」。店主の渡邊さんは、アンティーク家具セレクトショップの枠を越えて、住む人が心地よいライフスタイルの提案を続けています。

和にも洋にも寄りすぎない、同じ空間に違和感なく置けるようなアイテムをセレクト。フローリストや設計士、テーブルコーディネーターなどプロの視点を交えて、生活を彩るアイディアごとお届けする姿勢に脱帽。

もはや「アンティークショップ」とひとくくりにはできない存在です。

ツアーの最終目的地は、アテンドを務めた赤井恒平さんが運営する「AKAI Factory」。さまざまなアーティストがジャンルを越えて集い、それぞれの表現に没頭できるシェアアトリエ兼ギャラリーです。

工場跡地という規格外の空間で、幅広い年齢の表現者が作品づくりに集中する姿はまさにボーダーレス。最後までインパクトの濃いツアーとなりました。

仕事も趣味も住むところも、柔軟な選択ができるようになってきた昨今。それでも「こうでなければ」という考え方にとらわれて、なかなか動けないという方も多いのかもしれません。

飯能エリアは都内に近く、ほどよく自然が残る地域。気軽な選択がしやすいエリアの一つです。

決まりきった枠から一歩踏み出したいと思ったときに、「これでもいいんじゃない?」を体現できる飯能エリアを思い出してもらえればいいな、と感じた一日になりました。

山間に集まるクリエイターたちをめぐる旅でめぐったところ

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記事を書いた人:
つるまゆ

長野県上田育ち→東京経由→埼玉県飯能暮らし/自然に囲まれた生活を愛して、2021年に移住/山と緑、自然食と手仕事、コーヒーを楽しむ生活

  • 職業は経理&ライター
  • 登山大好き
  • 和服大好き

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