あそぶ

ライター:ふさ

2023.10.19

秋の天覧山山頂で、北から南へ「鷹の渡り」を観察

秋の天覧山山頂で、
北から南へ「鷹の渡り」を観察

私たちが東京から飯能へ引っ越してきたのは、2022年の夏。飯能での四季を経て、このまちの夏、秋、冬、春の景色を知りました。

昨年の秋、初めて見た巾着田の曼珠沙華(彼岸花)は、とても印象的でした。先日、そのとき以来、彼岸花が河原に咲いているのを見つけて、ふと頭に浮かんだのは「ああ、1年経ったんだ。秋が来たんだな」ということ。

飯能で暮らしていると、山の色、川の表情、道端の花など、自然のいろいろな景色が季節を鮮やかに映し出すのを感じます。

鳥好きの娘は、山から聞こえてくる鳥の声や、木にとまる鳥の姿でも季節を感じているようです。季節の鳥を見つけると、うれしそうに教えてくれます。

こんなふうに飯能の季節の色や変化を感じて、すこし豊かな気持ちになれること。飯能へ引っ越してきてよかったと思うことの一つです。

実は鳥好きだった副編集長が「来年の9月は、天覧山に鷹を見に行くといいよ」と教えてくれました。天覧山山頂の上空では、毎年9月ごろ冬に向けて東南アジアに渡ってゆく鷹を観察できる、と。

そのときから「秋になったら、絶対に天覧山へ行こう!」とずっと娘と話し続けて約1年。9月の半ばに副編集長から「鷹が渡り始めたようです」とメッセージが届きました。

とうとう待ちに待ったときが! このチャンスを逃すわけにはいきません。雨の日のあとの晴れた日が、観察にはいい日だそう。

天気予報をにらめっこして、アドバイス通り雨上がりの晴れの日に狙いを定め、天覧山へ行ってきました。

娘は鳥好きとしての正装だ!というかのように、野鳥の会の帽子をかぶり、ワクワクしながら進んでいきます。

途中、立ち止まって、虫や花を見たり。飯能は坂道が多いのですが、この1年の学校の行き帰りで鍛えられた娘はもう慣れっこ。

ずんずん進む娘に、置いていかれそうになりましたが、天覧山は小さな子どもも登れるくらいの低い山。ちょっと頑張れば、あっという間に山頂です。

私たちが山頂に着いたのは、もう陽も高く昇った11時ごろ。山頂スペースには、双眼鏡や単眼鏡を持って待ち構える方々が15人ほど。

今まで他の人とバードウォッチングをしたことがない娘。すこし緊張してしまったようで、固まって小声になってしまいました。

私が代わりに「こんにちは、鷹を見にきました!」と伝えると、あっという間に先輩方が歓迎モードに。

「天覧山タカ渡り観察グループ」という名前で活動されているみなさんは、毎年8月の終わりから10月半ばまで、日本から東南アジアに渡る鷹を、そして3月ごろには日本に戻ってくる鷹を観察されるそう。

『鷹の渡り』というホームページがあるんだよ、と教えてもらいチェックしてみると、天覧山だけでなく、日本各地で鷹の渡りを観察されている団体が、それぞれの観察結果を報告されていました。

私と娘にたくさんお話を聞かせてくださった石井さんは、もうなんと23年も観察を続けていらっしゃるそう。

「昔は飯能でも多くの人が観察に来ていたんだけど、今はほとんどいないんだ。ほとんどみんな飯能の外から通っているんだよ」と教えてくださり、飯能在住の娘が来たことをとても喜んでくださいました。

鷹、といっても種類があって、渡ってゆくのは主にハチクマ、サシバ、ノスリの3種。

ろくに写真が撮れなかった私のために、観察グループの方が、今年天覧山で撮れたという素晴らしい写真を送ってくださいました(ありがとうございます!)。

これは、ハチクマとツミが戦っている貴重な写真。ツミ(写真上)は日本で一番小さな猛禽類です。

写真提供:天覧山タカ渡り観察グループ

そしてサシバ。たくさんの数で渡ってゆくのは、サシバだそう。

写真提供:天覧山タカ渡り観察グループ

鳥の先輩方、みなさんとても優しい。図鑑を見せてくださったり、教えてくださいます。しかし、完全初心者の私たち、探し方さえわからない…。

とりあえずご飯を食べるか、とお弁当を広げました。腹が減っては観察はできぬ、というか花より団子というか。

何にせよ、青空の下のお弁当は格別です。ご飯を食べて、空を眺めたり、図鑑を見たり、先輩とお話したり。楽しい時間が流れます。

そのうちに、鷹を見つけた方が「○○の方向にいます!」と声を上げてくださり、みんなでその方向を探すという流れに私たちも加わりました。しかし、慣れない動作ではるか上空の鷹を見つけるのは難しい。

それでも何羽かは見つけられて、夢中で鷹を追っていたらあっという間の2時間。「だいたい観察は午後1時過ぎくらいまでかな」ということで、この日は下山することに。

先輩方の「明日はかなり狙い目。もしかしたら今季最後のチャンスかも」という言葉を信じて「わかりました、明日また来ます!」と約束して、山を下りました。

そして次の日。8時半ごろ登山スタート。朝から登るのは、とても気持ちがよかったです。

この日は到着してすぐ「あっちにいる!」「こっちにいる!」とみなさんからの声が止まない!

その声を頼りに、私と娘も必死に双眼鏡を覗きました。前日は撮れなかったけど、この日は遥か遠くの空を優雅に飛ぶ鷹たちを、私のカメラでも撮れたほど。

この日もお昼ご飯は、青空の下でのお弁当。観察の合間で、蝶やトカゲを観察したり、鷹以外の野鳥の話も聞いたり。

学校や習い事とは、また別の貴重な時間。飯能へ引っ越していなかったら、娘は間違いなくこんな経験できなかったと思います。

そしてこの日は「鷹柱」という鷹の集団が飛んでゆく現象が!

写真提供:天覧山タカ渡り観察グループ

待ってました!と言わんばかりの、みなさんから上がる興奮の声。これはすごいことなんだ!と実感しました。

さすが先輩方、読みが的中。この日、今年一の数の鷹が渡ったそうです。その数、135羽(ちなみに前日が38羽、前々日は0羽)。

娘も必死に双眼鏡で追い「見えた!」とうれしそう。2回目の観察で鷹柱が見れるなんて相当ラッキーですよ、と教えてもらい、得意げな娘でした。

が、残念なことに。実は私、見えませんでした。頑張って追ったのですが、どうしても捉えられず。これは私のショボい双眼鏡のせいだと思いたい。なんてこった。

悔しい気持ちを堪えつつ、下山の準備をして、娘はみなさんと写真を撮っていただきました。

好きなことでこうやって世代を越えていろいろな方と知り合えること、幅広いお話を聞かせてもらえること、自分の娘ながら、なんて素敵な経験なんだろうと羨ましく思います。

9月にサシバの渡りのピークが過ぎると、次はノスリの季節とのこと。

毎年、10月半ばまでは観察が続くと伺いましたが、残念ながら予定が合わず見に行くことができませんでした。

来年こそは、私もサシバの鷹柱をしっかり見たい。それまでに遠くの鳥を追えるよう、もっと練習しておきます。

もしかしたらコンタクトの度が合ってなくて見えないのかも。眼科にも行ったほうがいい気がして来ました。

天覧山でお話しした方に言われた言葉。「お母さん、子どもが野鳥好きになるとね、親がハマっちゃうっていうこと、よくあるんだよ」まさにその通りになりそうです。

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記事を書いた人:
ふさ

2022年夏、都内から飯能へ移住。都内へ出社したり、テレワークしたりの生活を始めたばかり。

  • 本業以外にも、写真を撮ったり、以前は育児雑誌のブロガー、最近は英語の先生も
  • 車で、娘とふたり旅するのが大好き。最長記録は東京⇆九州
  • ビール愛(詳しくないけど)かなり強め

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