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ライター:オオタケ ユウスケ

2021.09.02

山里のお寺で過ごす特別な時間「曹洞宗 福王山 正覚寺」

山里のお寺で過ごす特別な時間
「曹洞宗 福王山 正覚寺」

平成の大合併で飯能市に合併された旧・名栗村の最上流部、上名栗の地で鎌倉時代から続く正覚寺。飯能市街からは入間川の源流へと続く、渓谷沿いの県道を西に向かって自動車で40分ほど。深緑の山々の間を、土と木々の香りを嗅ぎながらドライブする道中です。

地域のお寺として地元の人に愛されてきた同寺は、20年ほど前から都会の人々に宿坊を提供し、1泊2日の修行体験を行なっています。僧侶の石井哲臣さんと妻の奈緒美さんにお話を伺いました。

無になる時間を求め、都会を離れ山里へ

宿坊に泊まって行う修行体験は、哲臣さんの父である住職が20年ほど前に始めました。山の静かな環境で座禅をする1泊2日。夕方に正覚寺に到着すると、山里の幸を使った精進料理の夕食をいただき、その日は21時には就寝します。

翌朝は朝6時ごろから座禅を行い、朝のお勤めとして住職と一緒にお経を読みます。その後、おかゆの朝食(小食)をいただき、掃除をしてお寺を後にします。食事や清掃も仏教の作法に従い、滞在時間いっぱいを心を整える時間として過ごします。

「女性がひとりで参加されることが多い」と哲臣さん。スマホひとつで常時他人とつながっている現代だからこそ、非日常の場所へ身を置いて無になる時間が求められるのかもしれません。

エコツアーをきっかけに始めた新しいイベント

2020年8月からは、飯能市が推進する「エコツアー」に参加し、哲臣さんを中心に新しいイベントを企画実施しています。例えば、仏像彫刻家を先生として招いて行う仏像彫刻の講座。そのほかにも、写経体験やヨガインストラクターを招いてのヨガ教室も実施。東京都内の人などに人気で、毎回10名ほどの定員が埋まるそうです。

「何もしなかったらお寺に人は来ません。全国のお寺が人を呼ぶ工夫を重ねていますが、私はエコツアーという方法で取り組んでいます。2年前に建てた新棟に“脱落庵”という名前をつけましたが、“心身脱落”、つまり執着しないことで悟りを開くという仏教用語に由来します。忙しない世相の中で色々な物事に捕らわれてしまう方々にこそ、届くようなイベントを続けていければと思います」

飯能の魅力は自然の豊かさ

名栗で育った哲臣さんは、地域の魅力は自然の豊かさだと語ります。

「名栗の小学生たちにとって、遊びといえば川遊びか虫取り。清流にだけ住むカジカが近所の川を泳いでいる魅力的な地域です。週末はハイキングなどで訪れてくれる方も多く、飯能の自然に誇りを感じます」

正覚寺の近くまで飯能駅から30分に1本ほど路線バスが走っていますので、気が向いたら一人でふらっと出かけてみるのもよいかもしれません。東京からも近い山のお寺でのひとときは、忙しい社会人が心のバランスを取り戻すにはぴったりの場所になるでしょう。

関連情報

名称
曹洞宗 福王山 正覚寺
所在地
飯能市上名栗2326
Web
https://fukuousan-shougakuji.jimdo.com/

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記事を書いた人:
オオタケ ユウスケ

埼玉都民のための「ライフタウン」メディア「西埼玉暮らしの学校」を主宰する地域の編集者。西武池袋線「西所沢」で土曜日だけ開店する小さな書店「サタデーブックス」を経営。埼玉ハンノウ大学の運営ディレクターとしても活動中。

  • 「西埼玉暮らしの学校」主宰
  • 「サタデーブックス」店主
  • 埼玉ハンノウ大学・運営ディレクター