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書いた人:赤井 恒平

2021.08.25

発信する若きお茶農家、 的場龍太郎さん(的場園)

発信する若きお茶農家、
的場龍太郎さん(的場園)

みなさんはお茶に対してどんなイメージを持っていますか?

私は、実家で祖母がよく緑茶を飲んでいたので「日本茶の香り=おばあちゃんの香り」だったりします。ちなみに、20代の方にお茶の香りを嗅いでもらっても「懐かしい」と言うそうです。それだけ日本茶が現代の生活から離れてしまっている、ということなのかもしれません。ところが今、フランスなどヨーロッパでは日本茶が注目されていたり、国内でも日本茶専門のおしゃれカフェが出現したりと、改めて日本茶が見直されてきています。

飯能も狭山茶の生産地の一つということで、この話題は見逃せません! お茶のことは生産者に聞くのが一番、ということで、お茶農家の的場園さんにお話を聞いてみました。

飯能駅から車で10分程度のところにある的場園さん。お話を伺ったのは四代目の的場龍太郎さんです。イケメンですね。

「夏はなかなか熱いお茶を飲むことはないと思いますが、水で淹れた冷茶というのもおすすめですよ」と、美しい所作で明るい緑色の冷茶を出してくれました。いい人です。

寝る前には冷たい緑茶がおすすめ!?

寝る前のコーヒーや緑茶、紅茶などのカフェイン飲料は、眠れなくなるから摂らないようにしている、という方も多いかと思います。ところが、意外に水で入れた冷茶は寝る前にリラックス効果をもたらしてくれるのだそうです。

そもそもカフェインは熱で溶け出すもので、水出しならカフェインが抽出されにくくなります。さらに冷茶ではテアニンというストレスを低減するアミノ酸が多くなるので、寝る前にぴったりなのだそうです。逆にシャキッとしたい朝は熱湯で淹れたお茶でカフェインを摂るのがおすすめとのこと。これだけでもお茶の楽しみ方が広がりますね。

美味しいお茶を求めて。「苦い」「渋い」からの脱出

目にも舌にも楽しいお茶を求める的場園さん。現代のライフスタイルに合わせた変化を求めながらも、やはり「味」への思いには並々ならぬものがあります。

そもそも、所沢・入間・飯能などの埼玉県西部で栽培されている「狭山茶」は、「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でどどめさす」と言われるほど有名。埼玉は静岡や京都に比べて寒く、お茶の葉っぱが厚くなるため味がしっかりするのです。また、乾燥加熱をしっかりと行う「狭山火入(さやまびいれ)」という独自の仕上げを行うことで、香り高く保存性に優れているのも特徴。宇治はフレッシュな味わいなのに対して、狭山茶は甘みのある濃厚な味わいになるのはこのためです。

一般的に日本茶というと「やぶきた」という品種が代表的です。的場園でも代々「やぶきた」を栽培していたのですが、的場さんが四代目になる際、もっと旨みが強く、緑・青みが出る「奥緑」「春緑」という品種に変更。うまく育つ保証はない中で、今まで何十年と育て続けてきた「やぶきた」をやめる。これも、若い人たちの味覚に合わせ、苦味や渋みを抑えた旨みのあるお茶を追い求めるための挑戦なのです。

サウナにイタリアン。異業種とも積極的にコラボ

「私は業界では異端児なんですよ」と笑いながら語る的場さんは、もともとお茶農家ではなく、2010年に婿入りしてこの世界に入りました。そんな「外の目線」を持っている自分だからこそできることをやらなくては、と様々な業界とコラボしています。

例えば、茶の実油に茶葉とニンニクを合わせた「グリーンティージェノベーゼ」。パスタはもちろん、グリルしたお肉に合わせるとほんのり苦味のある奥深い味わいが楽しめます。他にも昨今のサウナブームに合わせて、温浴施設で冷茶を提供したり、ロウリュをお茶でやってみたり、ヴィヒタを茶葉でやってみたり、果ては茶畑でアウトドアサウナを開催したり。そのチャレンジ精神は止まるところを知りません。

いかがでしょう? 少し狭山茶に興味が出てきましたでしょうか。はんのーとでも的場園さんのイベントが開催される際は紹介していきますので、ぜひイベントページをチェックしてくださいね。

関連情報

店名
的場園
ネットショップ
https://matobaen.base.shop/
Instagram
@matobaen

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記事を書いた人:
赤井 恒平

飯能生まれ。AKAI FactoryやBookmarkを手がけた、飯能リノベーションの第一人者。地域や人をつなぐ「橋をかける仕事」をしています。

  • 飯能市キーマン
  • AKAI Factory 代表
  • 埼玉県「まちなかリノベ賞」最優秀賞(R2年度)

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