くらし

ライター:梨本 つよし

2024.07.16

明治時代から続く、地域への思いやり「畑の蔵」

明治時代から続く、
地域への思いやり「畑の蔵」

飯能の南高麗エリアに位置する、ファミリーマートに併設された蔵が特徴の「畑の蔵」。

なんと、お店の歴史はさかのぼること明治初期。長年、地域の暮らしを支える畑の蔵の魅力と歴史をひも解いていきます。

今回、取材に応じてくださったのは、有限会社コミュニティストアマスオカ代表の増岡さん。まずはお店の特徴について伺いました。

地域から親しまれる、ベテラン農家お墨付きの野菜

「畑の蔵は、産地直送の野菜を中心に販売しています。お客さんは近隣の方に留まらず、狭山市や入間市、瑞穂町からもいらっしゃいます。特に新鮮な旬の野菜を求める声が多く、今の時期だと夏野菜のきゅうりやナスがよく売れますね。また、地域コミュニティの場としての側面もあり、よく談笑されているお客さんをお見かけします」と増岡さん。

店内を見渡すと、破格の野菜や生産者さんを紹介するPOPが掲示されていて、大型店舗では味わえない、ワクワクするお買い物ができます。

畑の蔵の創業期、増岡さんがベテランの農家さんを中心に、仕入れの協力を募る声がけをしたそう。陳列された野菜はどれもみずみずしく新鮮で、発色のよいものが目立ちます。

品質管理に関しても、信頼できる農家さんのご意見を参考にしているそうです。

各地の銘酒も充実

続いて、野菜売り場に隣接する蔵の中にお邪魔します。

「この蔵では、豊富な種類のお酒を並べており、野菜を購入した方やコンビニで買い物された方を中心にお立ち寄りいただいています。また、明治初期に醤油醸造所として建てられた蔵なので、2階は当時の雰囲気が残っています。一般開放していますので、ぜひのぞいてみてください」

野菜売り場とうって変わって、蔵独特の暗さでお酒選びが真剣に。もともと酒屋を営んでいたこともあり、現在も蔵を活用して販売されています。

お酒売り場の片隅にある、趣のある階段から蔵の2階へ行ってみましょう。

明治から令和に至る、蔵の歴史

「実はこちら、入念に掃除こそしたものの、天井や梁など内装はほとんど当時のままなんです。このテーブルは、醤油醸造で使用した樽の一部を再利用して作成したものです」

明治初期に使用されていた樽が、形を変えて再利用されているとは驚きです。中を見渡すと、なかなかお目にかかれないモノばかり。

当時使用されていた前掛け

明治から令和を支えた梁

増岡さんが20代だった約40年前は、各ご家庭に足を運び、何か必要なものはないか御用聞きをしていた時代もあったそう。

醤油の醸造からはじまり、時代に合わせた変化をして、現在では医薬品の販売もしています。この地域で暮らす人たちのことを考えた取り組みに、頭が下がります。

ただのお買い物を、ワクワクするお買い物に

野菜のこだわりから、蔵の歴史までたくさんのお話を伺いました。

インタビュー中にも、ひっきりなしにお客さんが買い物に訪れては、楽しげな表情を浮かべて帰っていく姿がとても印象的でした。

明治初期から続く、地域の方々への想い。時代を超えて蔵が残っているという事実が、増岡さんが代々受け継いだ思いやりの証です。

ふだんなかなか見かけない地元の野菜や商品との出会い、蔵の雰囲気を体験しにぜひお出かけください!

関連情報

店名
畑の蔵(はたのくら)
所在地
飯能市上畑245
TEL
042-972-2810
042-972-2810
営業時間
9:00〜18:00
定休日
毎週水曜日
※年末年始、お盆を除く
駐車場
複数台あり
HP
https://www.hatanokura.com/

アクセス

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記事を書いた人:
梨本 つよし

飯能生まれ、1997年世代。
大学・社会人と都内で過ごすも、飯能が恋しくてUターン、フリーランスに。飯能で面白いことができないかと、日々アンテナを張っています。

  • Web/動画ディレクター
  • 飯能河原でBBQ(毎年)
  • 飲み会の〆は九州屋